夫婦ゲンカしてもすぐ仲直りするわけ

── 夫なりの理由があるにせよ、甘やかしすぎたくない気持ちとの間で、ママとしては葛藤がありますね。そのズレは、日常のどんな場面で表れてくるのでしょうか。

 

雅美さん:たとえば、子どもの学校帰り後の過ごし方でも、私は「やるべきことをやってから遊ぶ」と教えたいのですが、主人は「学校で頑張っているんだから、まず好きなことをさせてあげたい」という考え方なんです。 そうすると結局、ダラダラして宿題が終わらないことも多くて。まだ小さいので時間配分も自分で決められないですし。

 

習いごとに関しても、私は英語やプールをできるだけ続けさせたいのに、主人は「本人がやりたくなったときにやればいいじゃないか」というタイプ。「パパは(やらないで)いいって言っているのに、どうしてママはダメなの?」となってしまう。 「勉強しなさい」「宿題しなさい」と言っている時点で、そもそもママは敵になりがちなのに、そこにパパの甘さが加わると、もう太刀打ちできないなと感じることもあります。

 

── パパが「逃げ道」になってしまう、と。そうした意見の衝突が起きたときは、どのように折り合いをつけているのでしょうか。

 

雅美さん:基本的には、その日のうちに直接話して仲直りするようにしています。LINEなど文字だけのやり取りだと、誤解を生んで話がこじれそうで怖いので、必ず、顔を見て話すのがルールです。

 

ただ一度だけ、大きなケンカをして翌日まで引きずってしまったことがありました。家族で大阪に行った際、夕食を「スーパーで簡単に済ませるか」「大阪らしいものを食べに行くか」で意見がぶつかり、私もついイラッとして口調がきつくなってしまっていたようで。すると、夫が気を悪くして、翌朝までほとんど口をきいてくれず、子どもたちだけを連れて朝食会場に行ってしまって…。

 

自分ではきつい言い方をしているつもりはなくても、ちょっとしたタイミングや言葉の選び方ひとつで、相手には「命令されている」「責められている」と、受け取られてしまうこともあるんだなと反省しました。

 

── ほんの小さなすれ違いが、大きなケンカにつながってしまうことも。夫婦ならではの難しさですね。

 

雅美さん:そうですね。子どもたちも大きくなってきて、夫婦の空気が悪いと「ママ、パパとケンカしてる?」と、すぐに感じ取ってしまうんです。私にとっても家族で食卓を囲む時間がいちばん楽しいですし、そこはこれからも、できるだけ幸せな空間であってほしいなと思っています。

 

 

次男の過剰歯の手術を控えた不安や、原因不明の咳での入院生活、甘いパパと厳しめママの教育方針の違い――遠藤家の悩みは尽きませんが、「家族で笑っていられる時間を大事にしたい」と笑う雅美さん。そんな2人が出会ったのは、雅美さんが芸能マネージャーとして働いていたころ。ある番組の企画で「優勝したら食事に行って」と懇願した相手こそが、のちに夫となる遠藤さんだったそうです。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/遠藤雅美