事業を通して社会に発信したい「障がい者への理解」

竹内亜沙美
学校への講演活動も活発に行っている

── 次々と事業を拡大させた背景にある思いとは?

 

竹内さん:さまざまなサービスを事業化することで、障がいのある子たちが不安なく社会に出ていけるようになるための「仕組み」を作りたいと考えています。先ほど紹介した事業以外にも、障がいのある子たちが余暇を過ごせるリゾート型ショートステイ施設や、家族の力を借りなくても自立した生活や移動ができるように支援するヘルパーサービスなど、「必要なものは作る」という信念のもと事業化してきました。

 

私は、施設を利用してくれる子たちに対して「障がい者だから支えてあげなきゃいけない」という目線で向き合ったことはありません。ひとりの人間として向き合い、各々が感じている困難や特性を理解したうえで、「幸せの形」を一緒に探しているという感じ。

 

知的障がい、身体障がい、発達障がい。今の世の中、「普通」から外れた人はみんな何かしらのラベルをつけられて区別されているように感じます。でも、みんなひとつの社会で生きていくわけですから、普通か否かの区別をすることは、あまり意味がないのではないかなと思っています。たとえば、目が悪いからメガネやコンタクトレンズを使うように、「普通」だと思っている人にもそれぞれの苦手や特性があって、その都度、道具やサービスを活用しながら社会で生きているんです。

 

だから私は、障がいのある子たちの苦手や特性など、それぞれが感じている「壁」を乗り越えるための仕組みやサービスを充実させていきたいと考えています。ただし、障がいのある子たちにとって「社会に出て働くこと」がゴールではありません。「幸せに生きること」がゴールです。これを実現するためには、サービスを充実させるだけでなく、「障がいの有無にかかわらず、一緒に過ごしていくためには何をすべきか、何が必要なのか」を考えられる社会を実現し、「生まれながらの不平等」をなくしていきたいと思っています。

 

今年で起業8年目。まだまだ道のりは長いですが、私たちの活動や発信をきっかけに、「障がい」への理解が深まり、どんな子でも生きやすい社会につながっていくことを願っています。


取材・文/佐藤有香 写真提供/竹内亜沙美