働くなかで感じた「疑問」を「使命」に変えて

── 障がいのある子どもたちが、つらい思いをせずに生きられる社会を作ろうしていたのですね。
竹内さん:そうです。私ひとりの力で何ができるかわかりませんでしたが、「動かなければ」という使命感を強く感じていました。また同じ時期に、私自身が「血小板減少症」という病気になったことも、起業をあと押ししてくれたように感じています。
血小板減少症とは、一般の人よりも極端に血小板の量が少なくなる病気。ちょっと転んだりぶつかったりしただけで、大出血になる可能性があり、完治は難しく、難病に指定されている病気です。特に大きな不調はなかったのに、健康診断で突然、病気を告げられたときは、青天の霹靂という感じでした。
その後、医師から提案されたすべての治療法に挑戦しましたが、改善には至らず血小板の数値は下がる一方。最後には入院生活となり、治療法が残っていないことに絶望しながら「人生は、いつどうなるかわからないんだな」と感じました。止血剤と血管を強くする対処療法で、なんとか退院できる状態になりましたが、「命は有限」だと理解できたおかげで、起業への意思も固めることができたと思っています。
──「やりたいことは実行するべき」と、病床で感じたのですね。
竹内さん:そうですね。その後は、退職の意向を学校側に伝え、起業の準備を進めました。そして2018年4月、就労準備に特化した放課後等デイサービス「みらせんジュニア」を開設したんです。
「やるべきこと」を見つけるまでに時間がかかってしまいましたが、起業までに感じた、「社会への不満とジレンマ」が、私をここまで運んでくれたのもたしかなこと。今では、放課後等デイサービス以外にも、就労支援やショートステイ、グループホーム、障がい者が働く飲食店なども展開しており、障がいのある人々を包括的に支援できるサービスを提供できるようになりました。今後も、福祉の視点を大切に、「必要なサービスは自分たちで作る」というモットーで支援の輪を拡大していきたいと思っています。
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教師時代の気づきから起業を決意し、就労の準備に特化した放課後等デイサービスの運営を始めた竹内さん。現在も、事業のなかで感じた「障がい者の生きにくさ」を改善するために、さまざまな事業を展開しながら奮闘し続けています。
取材・文/佐藤有香 写真提供/竹内亜沙美