借金600万円、ギャンブル依存、住む場所も失う──。そんなどん底からはい上がり、浅草で観光人力車「東京力車」を成功させたのが、株式会社ライズアップ・西尾竜太代表取締役です。彼が人生を立て直し、事業で高い評価を得るに至った背景には、「人のために働く」という信念がありました。

話題の社長の学生時代「パチンコで借金600万円」

── 西尾さんは現在、株式会社ライズアップの代表取締役として、浅草を拠点に観光人力車「東京力車」を運営されています。2020年の創立以来、年商は4億円にまで成長。お客さまからの満足度も非常に高く、人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』では何度も取りあげられるなど、メディアでも注目の会社です。西尾さんはどんなモットーで仕事をされているのでしょうか。

 

西尾さん:「お客さまのために仕事をする」です。徹底的なホスピタリティをご提供することで、たくさんの方から支持をいただいています。でも、ここに至るまでは紆余曲折ありました。若いころの僕は、とんでもない大バカ者でして…。大変お恥ずかしいことに学生時代、ギャンブルにハマって借金が600万円にまで膨れ上がったこともあります。

 

── とんでもない額の借金ですね!なぜそこまでギャンブルにハマったのでしょうか?

 

西尾さん:もともと僕は、高校時代まで本格的に水泳に取り組んでいました。朝5時から筋トレをはじめとしたトレーニングに水泳練習、授業が終わったら21〜22時ころまでプールで練習でという生活を送っていて。歯車が狂い始めたのが、スポーツ推薦で大学に進学後、ひとり暮らしを始めてからです。大学生活はすべてが自由。天国かと思いました。それまでは人に言われるがまま水泳の練習をしていた反動もあったのでしょう。どんどん楽なほうへ流されてしまいました。

 

友人に誘われるままハマったのがパチンコです。ビギナーズラックで大当たりしてから、1日中パチンコ店に入り浸る日々に。当然、儲からずにお金がたりなくなる。親から「お金の貸し借りをしてはいけない」と厳しく言われていたのですが、学生証さえあれば学生ローンで簡単に借りられると知ってしまったんですね…。そこから借金が習慣化。雪だるま式に膨らみ、最終的には借金は600万円にまでになりました。

 

西尾竜太
徹底的にお客さま目線で動いた現役時代

── 学生だとその額を返済するのは難しいのでは…。途中で「これはまずい」と思わなかったのでしょうか?

 

西尾さん:ずっと「ヤバい、ヤバい」とお金のことしか考えていませんでした。でも、恥ずかしくてお金に困っていると周囲に言えなくて。借金の返済期限日が近づくと、別のところで新たに借金をして、そのお金を返済に回す状態で、焦りを見透かされて詐欺にあったこともあります。

 

それでも「どうして俺だけこんな目に」と考えていました。完全なる他責思考で、自分のせいだなんていっさい思っていなかったんです。