クリエイター集団・こねこフィルム『年齢確認』シリーズのコミカルな演技で注目を集め、話題作への出演が続く赤間麻里子さん。28歳で「無名塾」の先輩俳優と結婚したあとは経済的に苦しい時期もあったそう。黙って見守ってくれたご両親には感謝しかないそうです。

役者同士の結婚。父の言葉が覚悟を決めるきっかけに

── 夫となる「無名塾」の先輩俳優・高川裕也さんを、初めてお父さんに紹介した際、お父さんは高川さんに面と向かって「収入はいくらですか?」とお聞きになったとか。当時のお父さんの思いを、赤間さんはどう感じていらっしゃいますか?

 

赤間さん:父が夫に開口一番お金のことを聞いたのは、いちばん聞きにくいことだったからだと思います。彼が帰った後、父から言われたのは、「結婚したいと思っている今がいちばん気持ちが盛り上がっているときで、この先、もしかしたら他人の生活をうらやんでしまうかもしれない。ここから苦労するのはイヤだなという気持ちが1mmでもあるならうまくいかないから、恋人でやめておきなさい」ということでした。

 

赤間麻里子
NHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演し注目を集めた

「それでも、彼がいないと自分の人生は成り立たないと思えるんだったら、いい人に出会ったということだから、どうか幸せになってください」と。私は、結婚に対する理想はまったくないタイプだったので、「人の生活を羨んだりすることはないよ」と伝えたら、父は「それじゃあ、おめでとう」ってあっさり喜んで認めてくれて。その日以降、お金のことに関しては何ひとつ言われませんでした。私たちがどんなに経済的に厳しい状況になっても口を出すことはなく、役者の仕事だけで食べていけるようになった後も、ずっと温かく見守ってくれていました。

 

── それは、お母さんも同じだったのですか?

 

赤間さん:母は夫と会ったその日から夫のことを気に入っていたので(笑)。私がどうしようかなって迷っていたときも「彼なら絶対に大丈夫。あんないい人いないから」と、激推しだったんです。

 

夫は、つき合っていたときからすごく真面目で、実家に遊びに来たときの態度や話す姿勢がとても紳士的で常識的だったし、母の料理も「おいしい」って、本当においしそうに食べていましたしね。

 

── すてきなお母さんですね。お父さんとお似合いのご夫婦だと感じます。

 

赤間さん:父は初対面の夫にこそ厳しい言葉をかけましたが、基本的にとても温厚な人で。私は一度も父に叱られたことがなかったんです。それに父は、娘の私からみてもそうとうの努力家でした。会社を定年退職した後、毎日マラソンをして、図書館に通って、バイオリンを弾いて、というのを日課にしていたんです。

 

それでいて、私が決めたことはいつも尊重してくれる父でした。「あなたが決めたことだからいいでしょう」って。いつもそれしか言わなかったですね。

 

── お父さんは、赤間さんが役者の仕事をすることに対して、「続けることはいいことだから、続けなさい」という言葉もかけられたそうですね。

 

赤間さん:そうですね。父は、もともと体の弱い人だったらしく、ずっと走ることを継続していたんです。とにかく何かを始めるとずっと続ける人だったので、続けることは将来きっと財産になるって思っていたんじゃないかな。アルバイトだって、「最低3年はやってみたほうがいい」って言われましたし。でも、私はすぐ飽きちゃうタイプなので、さすがにアルバイトでそれはどうかなって思いましたけど。

 

── アルバイトで3年はベテランの域に入ると思います(笑)。

 

赤間さん:長いですよね。それだけは言うことを聞かなかったです(笑)。