図書館で家族5人分マックスで本を借りるのが楽しみで

── すてきな先生ですね。お子さんたちはどんなふうに感じられていたのでしょう。家族との時間で大切にされていたことはありましたか?

 

赤間さん:根本的に贅沢する余裕がないので、図書館で1冊6冊までだったのかな、たくさん借りることができたので、家族5人でマックスまで、紙芝居とか絵本や本を借りるのが恒例でした。5人分のカードを持っていって、みんなで借りたい本を選ぶんです。本を買うわけではないんですけど、子どもたちはすごく楽しみにしていて。自分の好きな本を選べることが楽しかったみたいです。寝る前には、いつも布団のそばに本を積み上げて。大人も子どもも、それぞれ読みたい本を読む、みたいな感じでしたね。

 

── 子ども時代に本を読む経験は、その後の成長にいい影響を与えるといわれていますよね。

 

赤間さん:私自身、本が好きだから本のよさを知ってもらいたいなって思ってはいたんですけど、今、子どもたちはスマホばっかりですね(笑)。

 

ただ、そういえば、子どもたちが小さいころ、小学校で読み聞かせを10年間続けていたんです。そのときに絵本を少しずつ買いためていて、今でもたくさん本棚に並んでいます。家族はたまに歯磨きしながらページをめくったりしていますね。そういうのを見ると、子どもたちにとっても、本がいい出合いになっているのかなって思います。

長男は美大生、次男はバレエダンサー、長女は歌手希望

── そんな子ども時代を過ごしたお子さんたちとの関係性に何か変化はありますか?

 

赤間さん:子どもたちはもう大きいので、みんなの生活リズムはバラバラです。しかも、うちは夫婦ともに役者なので、一般的な家庭のように、朝出勤して夜帰宅して…と親が規則正しく働く姿を見ていないせいか、長男はいま美術の大学に通っていて、次男はノルウェーでバレエダンサーをしていて、娘は歌手を目指している…という。もう、心配しかないって感じなんですよね(笑)。

 

赤間麻里子
ノルウェーにて、次男の卒業公演を観に

「食べていくのに苦労するよ」って、喉まで言葉が出かかるのですが。私も夫も芝居しかやってこなかった身だから、偉そうなことなんて言えないよなとも思うんです。「子どもたちよ、どうぞ苦労はしてください。何事も自分で考えてください。お願いします」と心の中で言ってます(笑)。自分たちが親に信じてもらって、役者の仕事でここまで来られたように、今度は私たちが子どもたちを信じるしかないのかなと思っています。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/赤間麻里子