「これから先ずっと仲代さんがいない世界がつづくのかと」
── 仲代さんが亡くなられた数日後、Instagramに想いを綴られていました。「これから先ずっと仲代さんのいない世界がつづくのかと お別れの日から気づくとぼんやりとしてしまいます」とあり、胸が締めつけられるような気持ちになりました。
赤間さん:ありきたりな言葉ですが、仲代さんは、人としても、役者としても、尊敬できる世界一の師匠でした。
10代で出会った仲代さんの背中は大きく、果てしなく遠くにあったけれど、一緒にお酒を飲みながら、昔の撮影話や舞台の失敗談を面白おかしく聴かせてくださり、笑い合ったりと、父のように身近に感じることも多くありました。
自分が役者として世に認められることが恩返しだと頑張ってきたので、どんなに頑張っても、もう報告しにいく場所がないと思うと寂しい気持ちです。それでも、自分の人生において仲代さんと共に過ごすことができ、偉大な師匠を持てたことは本当に幸せなことだなと感じています。
Instagramの写真は、仲代さんのご自宅の庭で撮った写真です。成人式は冬の合宿中に石川県の能登で迎えたため、着物は着られませんでした。ただ、母から譲り受けた振袖をどうしても着たかったので、帰京して写真だけ撮りに行きました。仲代さんと宮崎さんにも振り袖姿を見ていただきたくて、ご自宅に伺い「トントン」って、おふたりのいらっしゃる部屋のドアをノックして。
「写真を撮ってきました」と私が言うと、「おお、かわいいね、一緒に撮ろう」と仲代さんがおっしゃって。そのとき奥さまの宮崎さんが、猫好きの私のために、「麻里子が20歳になった記念に」と大事な猫のブローチを贈ってくださって。「素敵な大人の女優になってくださいね」とメッセージもくださいました。今でもすごく覚えています。
塾生たちの部屋は離れにあるのですが、仲代さんや奥さまとも本当の家族のように生活していたんです。毎朝顔を合わせられて、今思えばありがたい環境でした。
