「僕は覚悟を決めている」の言葉に巻き込まれ

── イサムさんとのことは、娘さんには相談されていたんですか?

 

みどりさん:娘とは仲がよくても言えなかったですね。イサムと娘が同級生で、保護者を含め、地元には知り合いが多いから、私がイサムと交際したら娘まで色眼鏡で見られちゃうんじゃないかって思ったし。ただ、娘は私とイサムが仲よくしているのは気づいていたようで、「私がネックだったら、私のことは気にしなくていいよ」と言ってくれました。

 

その後、私の信用できる友達にイサムを紹介してみたんです。最初こそ、私とイサムの関係には驚いていたけど、「あの子だったら大丈夫じゃない?」と言ってくれて。最後はイサムが大泣きしながら土下座までして「交際についてもう1回考え直してほしい。僕は覚悟を決めている」と言ってきて。

 

── 交際する決意が固まったと…?

 

みどりさん:決意というか、私が考える隙を与えないくらいグイグイ来てくれたから、巻き込まれていったような感じもあるんですけど。でも、もっとじっくり考えていたら一歩踏み込めなかったと思うし、結果的にあの勢いとパワーで来てくれてよかったと思います。結局、イサムと出会ってから2か月後くらいにつき合うことになりました。

 

── イサムさんは「結婚を前提に交際したい」と言っていたそうですが、みどりさんの中ではそこまで覚悟が決まっていたのでしょうか?

 

みどりさん:いえ。離婚を経験して籍を入れるっていうことがどんなに大変か、わかりすぎるくらいわかっていたので、結婚に関してはちゅうちょしていました。今は私のことを好き好き言ってくれるし、子どもがいなくていいと言っている。けれど、いつかは「子どもがほしい」「やっぱり若い人がいい」って言うんじゃないかって思っていたので。籍を入れることに関しては後ろ向きでした。むしろ、それなら事実婚でいい。今のまま仲よく過ごして、もし、ほかの女性のところに行きたいと思ったら、イサムが行きやすいように籍を入れないでいるほうがいいんじゃないかって思ったんです。

 

── いろいろと経験してきたがゆえに。その後、交際がスタートして、ふたりの関係は順調でしたか?

 

みどりさん:イサムは交際後も変わらず私のことを大事にしてくれました。私が戸惑うくらい、イサムの周りの人たちに「僕の彼女です」と、私を紹介してくれて。たぶん私に会う前にあらかじめ友達にも私のことを伝えていたと思うし、なかには「やめとけ」って言った人もいると思うんですよ。でも、イサムが私への思いをみんなに伝えてくれたのかな。私がイサムの友達たちと会うときは、みんな温かく迎えてくれてうれしかったですね。

 

その後、2年の交際を経て私も気持ちが固まったので、イサムと結婚することになりました。交際するまでさんざん迷いましたが、結果、今はイサムと一緒にいられて本当によかったなと思います。 

 

 

2年の交際の末、2024年7月に結婚したみどりさん。21歳の年の差があるため、将来の健康や介護、子どものことについては何度も話し合いを重ねたうえで籍を入れたそう。今納得できたのならばそれ以上、先のことは誰にもわからないからと、気持ちを切り替え、現在は充実した日々を送っているそうです。

 

取材・文/松永怜 写真提供/みどり