「久々の武道館イベントも」芸能界に未練なし

── 宮良さんは、15歳で小浜島を出て、16歳で東京へ。デビュー翌年には、夢だった日本武道館でDA PUMPとしてコンサートを開きました。DA PUMP時代から20年近くたち、どのような心境ですか?

 

宮良さん:2025年3月、かつて学んだ「沖縄アクターズスクール完全復活祭」のイベントで、久しぶりに日本武道館の舞台に立ちました。めちゃくちゃ楽しかったです!でも、過去は過去。いまは、芸能界に戻りたいとはいっさい思いません。

 

不思議がられるかもしれませんが、「あのまま、芸能活動を続けていれば」ということも、まったく考えたことがありません。20歳前後で「40歳を超えたら小浜島に戻って、民宿を継いで、船の上で三線弾いて歌っている」と、ある雑誌のインタビューに答えたことがありますが、いまはその通りの生活を送れて幸せです。小浜島で息子たちを育てられるのは本当にぜいたくなことだと感じます。

 

宮良忍
2025年3月、「沖縄アクターズスクール完全復活祭」のイベントで日本武道館へ(中央:牧野アンナさん、右:YUKINARIさん)

── 思い描いたとおりの生活ですね。いまも東京を訪れるそうですが、宮良さんにとって東京はどのような位置づけですか?

 

宮良さん:民宿には東京時代の友人や知人がたくさん来てくれますが、いまでも年数回はライブ活動をすることもあり、僕も東京に行っています。とくに毎年12月、クリスマスを東京で過ごすのは、家族を連れての定例イベントになっているんです。

 

妻と「新しい店ができたね」など会話しながら街を歩きます。あとは、やはり知り合いの店で買い物するのがいちばんの楽しみです。小浜島では、僕は毎日Tシャツ・海パン・ビーチサンダル姿で、お金を使う機会がほとんどありません。東京時代から洋服が好きなほうだったので、東京でこれぞというものを購入しながら、うまく自分を遊ばせる時間を作ってリフレッシュしています。小浜島で過ごす時間とのバランスがとれており、気持ちいいです。

 

取材・文/岡本聡子 写真提供/宮良 忍