筋力が徐々に衰える病気を患っている駒場はぐみさん。母や妹たちははぐみさんに寄り添い、自立をサポートしつつも、どの程度助けるべきなのか、葛藤や学びがあるそうで── 。
次女には何かと頼ることが多くなるけれど

── 現在、中学2年生になる娘のはぐみさんは、筋肉が徐々に弱っていく病気、筋ジストロフィーのひとつ「エメリー・ドレイフス型 筋ジストロフィー」を患っているとのこと。生後10か月ころに高熱が出て以降、成長とともに筋肉の拘縮(こうしゅく)や筋力低下などの症状がみられたそうですが、小学6年生で診断名がつくまでお母さんの夏希さんは手探りで子育てをされてきました。今は車いすと足の装具を併用しながら日常生活を過ごしているそうですね。
はぐみさんは3姉妹の長女で、次女(小6)、三女(小1)とともに、毎日にぎやかに過ごしているそうですが、母から見て、はぐみさんと、次女、三女の関係性はいかがですか?
夏希さん:はぐみは明るく穏やかでマイペース、学校であったことも包み隠さず話してくれる子です。いっぽう、次女も明るいですが、芯が強くて自分の意志をハッキリ言うタイプ。三女はムードメーカーで自由な感じです。ただ、家族のなかではどうしてもはぐみに手をかける時間が長くなりやすく、そのぶん、次女に何かと頼ることが多くなってしまいます。次女なのに長女の役割を担っているような、少し負担をかけているかなとは思っているんですけど。
── たとえばどんなことでしょうか?
夏希さん:家の買い物やお手伝いを次女に頼むことは多いし、はぐみ自身も次女に何か手伝ってもらうことがあります。はぐみはお風呂やトイレはひとりでできますし、家の中では短い時間なら歩くこともできるんです。でも、筋力が弱くて疲れやすいし、身体の拘縮もある。たとえば床に置いてあるものを取るとか、棚に置いてあるトイレットペーパーを取るとか、何かあれば次女にお願いすることがあるようです。
次女は、はぐみができないことは手伝っていますが、なんでもかんでも頼まれているな、と感じると「自分でできることは、自分でやって」とハッキリ言っていますね。はぐみが病気だからと言って「かわいそう」とか「大変だ」とか決めつけず、できることはできる、嫌なことは嫌だと家族で唯一ハッキリと口にする人です。
私からすると、思っていることを口に出してくれるから次女が何を考えているかわかりやすいし、はぐみにとってもそのほうがいいんじゃないかなと思っているんですけど。それに次女は思っていることはちゃんと言いつつも、優しいところがあるんです。はぐみを見ているからか、外で車いすの人が困っていたら率先して助けてあげるとか、人がなかなか気づかないところにも目がいきますね。