無理に合わせすぎなくてもいいのが晩婚のよさ
── 結婚されたのが49歳と59歳の晩婚でした。晩婚ならではのよさはありますか?
武東さん:晩婚は年齢を重ねて、すでに人格や生活スタイルなどが確立された人同士の結婚だと思うんです。もちろん20代などの若いときにも自分のなかに確立されたものはありますが、どちらかというとそこからふたりで作っていくという感覚が強かった。でも、晩婚はそれまでにお互いが築いた道のりをどう合わせていくかが大事かと。イチから作り上げるのではなく、合わせる作業なのだなと思います。
── なにかそのように感じた出来事はありましたか?
武東さん:たとえばモトは夜中まで起きていて、朝ごはんがいらない昼前に起きるような生活をずっとしていたんです。いっぽう、私は子どもがいたし、朝はきちんと起きて夜は早く寝る生活。だから基本的に生活スタイルが合わない。結婚生活を送るなかで、少しずつモトが早く起きるようになりましたが、でも、無理して合わせすぎないようにしています。
夜ご飯は一緒に食べるように決めていますが、あとは強制しない。ただ、モトも最近では10時ごろには起きてくるようになったので、歩み寄れる部分は歩み寄ってくれているのかもしれません。ただ、自分のスタイルに合わせて起きて寝るような生活って子どもがいたらできないと思うので、晩婚ならではなのかなと思います。
── たしかにそれは晩婚ならではのよさですね。
武東さん:そうですね。あと最初の結婚で元夫と暮らしていたときや、モトと暮らし始めた当初はお願いしたことをすぐにやってくれないと、すごくイライラしていました。でも今はやってくれないのであれば、どうやったら自分でできるか考えたほうが早いと割りきれるように。そのほうが楽だと思えるようになったのも、今の年齢になったからだと思います。
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今は夫婦で仲よく暮らしている武東さんですが、再婚する前には子宮頸がんと診断され、手術を受けたそうです。しかし、手術後に実はがんではなかったことが発覚。「病気を告知されたときは気を失うほどショックだった」と話す武東さんは、その出来事をきっかけに自分の体のことをきちんと考えるようになり、今ではもっと自分の体を大切に、年に一度の検診をしっかり受けているそうです。
取材・文/酒井明子 写真提供/武東由美