顔の左側の骨が成長しない、左顔面骨形成不全症という病気を生まれつき持つあやかさん。これまでに骨を引っ張る、脂肪を移植するなど約15回に及ぶ形成手術を受けてきました。昔から大好きなアパレル業界で働きたいと思っていたあやかさんですが、就職活動では壁にぶち当たることが多かったそうで──。

「眼帯が理由で」就活で何度も落とされた

あやか
手作りの眼帯をつけるおしゃれなあやかさん

── 生まれつき顔の左側の骨が成長しない左顔面骨形成不全症という病気で、これまでに何度も形成手術を繰り返してきました。最近はSNSや取材などで病気について公表されていますが、発信しようと思ったきっかけがなにかあったのでしょうか?

 

あやかさん:私は昔から病気のことを隠していなかったし、眼帯をしている理由を聞かれれば正直に話していました。病気のせいで左目の視力はほとんどなく、左耳も聞こえづらいですが、私は病気をマイナスにとらえずに生きているので、それを周りの人にも知ってほしいと思ったのがきっかけでしょうか。

 

「病気だから」となにかをあきらめるのではなく、今までもやりたいと思うことはほかの人と同じように挑戦してきました。同じ病気でもそうじゃない病気でも、物理的に無理がなければ、ふさぎこまずにやりたいことをやってみようと多くの人に伝えたいなと。

 

私自身も眼帯をつけたままの状態で挑戦して大丈夫かと思うようなことはありました。でも、そんなこと言ってもしかたがないというか。落ちこんでもいいけれど、それを活力にしてがんばるほうがいいと思っています。

 

── あやかさん自身が挑戦してきたこととは、具体的にどんなことですか。

 

あやかさん:私は昔からおしゃれが大好きで。今つけているおしゃれ眼帯も自分でデザインして作ったのですが、母から「あなたはおしゃれが好きなんだから、医療用の無地の眼帯じゃなくてコーディネートに合うような眼帯をつくってみたら?」と言われたことがきっかけでした。 パールやストーンをつけたり、かわいい生地を使ったりしながら、これまでにつくったおしゃれ眼帯の数は100を超えると思います。

 

なので、仕事もアパレル業界で働くのが昔からの夢でした。ただ、面接に行くと「それでその眼帯はいつからはずせるの?」と聞かれることが多くて…。雰囲気よく面接が進んでも、最後にそれを聞かれると「また、ダメなんだな」と。20歳のころはいくつ面接を受けても、採用されませんでした。アパレル店員は見られるのも仕事なのでしかたがないことなのかもしれませんが、当時は「どうしてだろう」と思うばかりで納得がいきませんでした。

 

── それでもあきらめなかった?

 

あやかさん:一時期は看護助手の仕事をしていたこともありました。でも、医療系の仕事はおしゃれ眼帯もダメだし、どうしても髪色、メイク、アクセサリーなど見た目を制限されることが多く、自分の好きなおしゃれができないことにモヤモヤしてしまい。眼帯のハードルはありましたが、よりありのままの姿でいられる、アパレル業界でやっぱり働きたいと想いが強くなりました。

 

それからも面接で落とされることもありましたが、病気のことを隠すのはいやなので正直に話していました。ダメ元で10社以上受けていると、私の病気をマイナスにとらえず、個性として理解してくれる会社と出会うことができたんです。「あやかはあやかだから自信を持っていい」と言ってくれて、その言葉にすごく救われました。

 

今は大好きなアパレルで接客の仕事をしていますが、実際に働いてみても不便を感じることはありません。病気をマイナスととらえない、私のことを理解してくれる会社と出会えたことは、本当に幸せなことだと思います。