生まれたときから顔の左側の骨が成長しない、左顔面骨形成不全症のあやかさん。中学生になると「まわりの子と同じような左右対称の顔になりたい」と思うようになり、これまでに約15回の形成手術を受けてきましたが、そこにはある葛藤も── 。

生まれてすぐお腹の病気で命の危機に

あやか
あやかさん。上野公園にて

── あやかさんは生まれつき左顔面骨形成不全症という病気だそうですね。どのような病気なのでしょうか?

 

あやかさん:顔の左側の骨が成長しない病気です。その影響で左目の視力はほとんどなく、左耳も聞こえづらいです。目は左右対称ではなく、口も曲がっています。生まれたときからすでに顔の左側の脂肪がなかったそうで、生まれた直後の私を見た父がすぐに「顔が変だぞ」と気づいたと聞きました。

 

ただ、生まれた直後にお腹に病気があることがわかり、そちらの治療のほうが当初は大変だったようです。

 

── お腹の病気ですか?

 

あやかさん:生まれてから1日経っても便が出なかったらしく、人工肛門をすぐにでもつけないと危険な状態であることがわかりました。処置があと10分遅れていたら命が危なかったそうです。便が肛門の奥でつかえて出なくなってしまう直腸狭窄(きょうさく)という状態で、それが治ると今度は大腸が腫れてしまう巨大結腸症という病気になりました。今はお腹の病気は治っていますが、それらの治療に生まれてから半年くらいかかったそうで、顔についてはこのときは特に病名はつかず、成長とともに治るだろうと医師からは言われたそうです。

 

── 左顔面骨形成不全症については、医師に相談していたのでしょうか?

 

あやかさん:保育園のころに両親と病院に行ったのですが、骨の成長が終わらないと手術はできないと言われたので、しばらくはそのまま過ごしていました。

 

左目の視力はほとんどなく、左耳も聞こえづらいですが、生まれたときからずっとそうなので、特に不便を感じることはありませんでした。強いて言えば中学でテニス部に入ったのですが、片目だと距離感がつかめないからか、ボールがなかなか上手にラケットに当たりませんでした。ただ、それも目が原因だとは思わず、運動神経など原因は別にあると思っていました。

 

私の住んでいるところは田舎だったので、地域全体で病気の私のことをありのまま受け入れてくれる環境で、いじめられることも特別扱いされることもなかったので、自分が病気であるという自覚はなかったです。