気弱少年がスタローンなどに憧れムキムキの体に
そんな気弱な少年が変わったのは、シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーといった映画スターの存在でした。
「中学生のときに『ロッキー』や『コマンドー』などの映画が上映され、主人公の鎧みたいな筋肉に憧れるようになりました。中学で所属した陸上部のトレーニングも兼ね、通販で購入したダンベルで体を鍛えるのが日課に。やがて筋肉がつきはじめ、同時に自信もついていったんです。結果、高校生になると学級委員長を務め、3年生では生徒会長を任されました。それまで閉じ込められていたものが、一気に花開いた感じですね」
性格も明るくなったという風岡さんは、同じ高校の好きだった女性に告白。つき合うことになったものの、のちに振られてしまいます。
「その振られた悔しさから始めたのがトライアスロンです。高校卒業後、僕は農業系の短大に進学し、彼女は就職をしました。同じ静岡県内だったんですけど、距離が離れて会うことは滅多にない。でも、自分がトライアスロンのレースに出て活躍すれば、新聞などで伝わり、見返すことができる。いま思うと、悔しさをバネにする僕の考え方や、逆境に負けず前を向く生き方の原点だと思います」

短大時代にトライアスロンのレースで輝かしい成績を上げ、プロの道へ。プロでも結果を出すも、ケガに悩まされて引退したのが23歳のときでした。
「トライアスロンは命をかけて取り組んでいました。だから引退を決めた際、同じように情熱を燃やせるものは何だろうかと考えました。そこで浮かんだのが、子どものころから好きだった昆虫です。
クワガタとカブトムシを養殖して直接販売する専門ショップを24歳のときにオープンしました。これが大ヒットして最盛期は年間3800万円以上の売上げに。稼ぎでフェラーリを購入したんですけど、信用していた相手に騙され、お金もフェラーリも奪われてしまったんです」
その後、クワガタ・カブトムシのお店はライバルやインターネットの登場により急激に下火になります。風岡さんは再び岐路に立たされるのです。