「やっぱりお芝居が好き」
── 芸能活動を休止して、海外で生活をしていた間はお芝居から離れていたと思います。再び演技の仕事をすることで心境の変化はありましたか。
福田さん:これまでお芝居の世界しか知らなかったですし、ものすごく大切な思いを持ってやってきたのですが、「自分はお芝居に依存しているのか」とか「意地になって続けているだけでは」と思った時期もありました。小さいころから俳優の仕事を長く続けるなかで、お芝居を本当にしたくて続けているのかわからなくなることもありました。
でも今は、やっぱり私はお芝居が好きだということに気づけました。事務所から独立して、今の立場が俳優と言えるかどうかわからないのですが、何者でもない自分になってみて、それでもお芝居が心から楽しいと感じられたのがこの1年での変化でした。表現することから距離をとってみたからこそ感じられたことだと思います。
── 今後、取り組んでいきたいことはありますか。
福田さん:これからしたいことをまだ明確に決めきれていないのですが、やっぱり演技に携わっていたいです。舞台に携わってお芝居が持つパワーも感じましたし、目の前のことにただただ一生懸命取り組んで生きてみてもいいのかなと思っている自分がいます。一つひとつの仕事に自分で関わっていきたいですし、新しい出会いをたくさん作りたいと思っています。人より遠回りをしてきたかもしれないけれど、私は少しずつでしか進めないので、そんな自分を認めてあげながら前に進んでいけたらと思います。
…
事務所を退所する前まで、ワーキングホリデーを利用してニュージランドで生活を送っていた福田さん。「人生でいちばん働いた」というほど朝から晩まで働き詰めだったそうです。そんな日々が新鮮だったと話す理由は、子役で一躍有名となり学校と仕事を両立していたため、毎日同じ場所に通う経験がなかったからだといいます。帰国して1年が経ち、海外生活で見出した「自分らしく生きることの大切さ」を見失いかけるときもあるそうですが、「あれだけ自分らしくいられたじゃない!」と自分に言い聞かせて、海外生活の経験を思い出しながら日々を過ごしているそうです。
取材・文/内橋明日香 写真提供/福田麻由子