子役で一躍有名となった福田麻由子さんは、今年の夏に約20年所属した事務所を退所しました。「不満はなかったけれど」と話す退所の理由と現在の生活について伺いました。
芸能活動を休止している間に
── 福田さんは子役として人気ドラマなどに出演し一躍有名になりました。ほかの仕事を経験してみたいと2022年末に芸能活動を休止し、長野県の白馬村でホテルととんかつ店で働き始めました。その後、2023年にワーキングホリデーでニュージーランドに行き、モーテルとレストランの仕事をしていたそうですね。日本に帰国後の今年7月に、約20年所属していた事務所を退所したことを発表しましたが、なぜ長年所属していた事務所を辞めようと思ったのですか。
福田さん:芸能活動を休止してニュージーランドで働いていましたが、ずっと「この先何がしたいの」とか、「帰ったら芸能の仕事を続けるの」といろんな方に聞かれ続けていて、それに対してうまく答えられない自分がいました。

日本で別の仕事をしたり海外で生活してみたりして自分なりに動いてきたものの、「30歳になるのに私、何してるんだろう」というくらい、これからどうしたいのか、人に説明できない自分がいました。10歳からお世話になっている事務所に何も不満はなかったのですが、20年も過ごしてきたので実家のような感覚になっていたんです。
18歳で実家を出てひとり暮らしを始めたときに「家も好きだし、家族も好きだし、なんなら助かることがたくさんあるけれど、そろそろ出なくちゃ」と感じたことと重なる部分があるのですが、「そろそろ自分の足で踏み出さないと」という思いが強くなりました。
── 本当の意味で自立してみたいということですか。
福田さん:そうですね。同世代の子は、キャリアアップや結婚、出産などライフステージが変わっていっているのに、私は30歳過ぎても世の中を知らないことが不安でした。事務所の方を仕事仲間として接するべきだったと思うのですが、小さいころから見ていただいているので、家族のような甘えが出てきてしまっていて。もちろん、ほかの事務所に行きたいという気持ちはまったくありません。このまま事務所にいたら頼りっきりになってしまうと思いました。
それまで自分には、お芝居以外何も残らないと思っていたのですが、芸能活動を休止して別の仕事を経験してみたことで、仕事はひとつに絞らなくてもいいし、自分で仕事を見つけて働いて生きていけそうという自信になりました。ニュージーランドにいるときに事務所の社長に電話して、退所の意思を伝えました。
── 長年、所属されていましたし、引き留められませんでしたか。
福田さん:「こういう形で今後も関わることができるよ」とか、「できることがあれば協力する」と提案してくださったのですが、私自身の決意は固まっていました。社長は最終的に「もし戻ってきたかったらいつでも居場所はあるから、頑張ってね」とあと押ししてくれました。帰国してから直接お会いして、退所したという形です。