妻の手のぬくもりや一つひとつの声かけが、いまコージー冨田さんを支えています。糖尿病や合併症の影響で視力はほとんど失い、病院通いする日々ですが、病気になったことで夫婦のあり方も変わり、妻の大切さも同時に実感したといいます。
結婚25年、まさかこの歳で
── タモリさん、笑福亭鶴瓶さんなど、幅広いモノマネのレパートリーで知られるタレントのコージー冨田さん。20代で糖尿病を発症し、現在は合併症の影響で視力をほとんど失いながら、週3回の人工透析を続けています。そんな生活のなかで、大きな支えになっているのが、25年連れ添う奥さんの存在だといいます。病気を公表した今、夫婦としての日々にどんな変化があったのでしょうか。
コージーさん:いちばん変わったのはスキンシップが増えたことでしょうか。以前は、自分の足で自由にどこへでも行けましたが、いまはそうはいきません。外に出るときは、必ず奥さんの肩や手を借りて出かけるようになりました。結婚して25年になりますけど、まさかこの歳になって、こんな関係になるなんて思いませんでしたね(笑)。
横断歩道では信号が見えないので、「いま青になったよ」とうながしてもらったり、段差がある場所は「そこ、気をつけてね」と腕を支えてもらう。そんなやり取りが日常になりました。奥さんに感謝する日々ですね。

── 視覚に頼れない状況では、コミュニケーションの取り方も変わってきますよね。
コージーさん:目の情報に頼れないぶん、言葉で伝え合うことになるので、会話はかなり増えましたね。以前は一緒にテレビを見ていても、それほど話すこともなかったんですが、いまは「これって誰が話してるの?」「いま、どんなシーン?」といった具合に、いろいろと質問するようになり、それが自然と夫婦のコミュニケーションになっています。奥さんの声が、僕の目の代わりを担ってくれている。本当に心強いし、すごく支えられていますね。
いまは週に2回、奥さんにつき添ってもらって、眼科と皮膚科に通っているんです。その帰りに一緒にご飯を食べるのが恒例で、ちょっとしたデートの時間になっていますね。通院は気が重いものですが、一緒に出かけて何を食べるか相談しながら、たあいもない会話を楽しむ…それが、病気と向き合う日々の気分転換になっています。不便の多い毎日ですが、病気になったことで夫婦の絆を感じられる場面が増えました。そういう意味では、「悪いことばかりではないのかもな」と思ったりします。