関西でタレントとして活躍する藤原宏美さんは、41歳のときに突然左胸の痛みに襲われ、乳がん0期の非浸潤がんと診断されます。ショックを受けながらも、治療法を決断するために経験者や看護師に相談したところ── 。
胸の痛みでわかった「乳がん0期」

── 今から8年前、41歳のときに乳がんがわかり、闘病されました。病気がわかったきっかけを教えてください。
藤原さん:私はもともとすごく健康で、それまでは日常生活を送っていても特に不調はなく、乳がん検診を受けたことがありませんでした。それが、2017年の秋ごろ、夫のひじが私の左胸にたまたま当たったときに、これまでに感じたことのない痛みが走って…。あまりの痛さにうずくまってしまい、しばらく動けないほどでした。
右胸には特に痛みはありませんでした。左胸もその後はすごく痛むようなことはなかったのですが、実はその少し前に小林麻央さんが乳がんで亡くなり、世間的に乳がんへの関心が高まっている時期でした。「乳がんは痛まない」と思っていましたが心配になり、乳がんを専門的に治療する病院で診てもらうことにしたんです。
── 病院ではどのような検査をされたのですか?
藤原さん:エコー、マンモグラフィ、血液検査を行いました。ただ、それだけではなかなか病気がわからず、CTを受けたり、針で細胞を取って組織検査をしたりして、検査結果を待つことに。私の場合、年末に検査を受けたので、結果がわかったのが年明けになり、通常より少し時間がかかったと思います。病院の予約もなかなか取れなかったため、最初の痛みから結果がわかるまで2か月くらいかかりました。
── 医師からはどのように言われたのでしょうか?
藤原さん:「乳がん0期の非浸潤がん」と言われました。非浸潤がんとは、がん細胞がまだ広がっておらず、乳管の中にとどまっている状態です。私は「非浸潤がん」という言葉を聞いたのも初めてだったし、そもそもがんのステージは1〜4期だと思っていたので、0期があるんだなと。それで「0期はがんになる前の段階の状態で、きっとたいしたことはないだろう」と、聞いた瞬間は思っていました。
── でもそうではなかった?
藤原さん:先生に「0期ってことはがんではないですよね?」と質問すると、「0期もがん。ただし早期発見だ」という説明とともに、手術をする必要があると3つの選択肢を提示されました。それが「左胸の全摘出」「左胸の全摘出+再建」「がんの部分切除+放射線治療」の3つ。0期なのに全摘出の選択肢が入っていることに、とても驚いたのを覚えています。
先生にそれぞれのメリットとデメリットを聞くと、全摘は胸がなくなってしまうけれど、手術後の治療がいらない。「全摘+再建」は同時手術のため麻酔が覚めたら胸がある状態ですが、再建のプロフェッナルの先生が手術をするため、全摘の後に再建の先生に交代。そのため手術時間が長くなると言われました。「部分切除」は切除するのが一部だけで済むが、放射線治療が必要となります。
その場では手術日だけが決まり、どうしたいか考えてきてほしいと先生に言われました。