手術で「おぼれる夢は見なくなった」いっぽうで…

── では、そこからまた前の状態に逆戻りに?
菅さん:そうなんです。が、30歳過ぎまでその状態で生活してきたので、寝不足や頭痛には慣れていて、そのまましばらくまた放置していました。ただ、40代に入ると体力が落ちてきて、SAS由来の頭痛などの不快症状が昔よりもきつくなってきてしまい…。それで再度病院に行ってみると、令和3年に保険適用になった「舌下神経電気刺激療法」という治療法があることを知りました。
── どのような治療法なのですか?
菅さん:まず、手術で胸の前部からアゴの下にかけて装置を入れる必要があります。寝る前にコントローラーで装置を起動すると、呼吸に合わせて電気の刺激で舌根が持ち上がるんです。そうなることで気道が確保されて、無呼吸を防ぐことができます。
この治療ならCPAPのように寝苦しいこともなさそうだなと。BMIが32を超える肥満体型の人はできないなどいくつか条件はあるのですが、僕はすべてクリアできていたのでぜひやってみたいとお願いすることにしました。
── 手術や術後は順調でしたか?
菅さん:手術は全身麻酔でしたが約2時間ほどで終わったようです。通常は1週間ほど入院するそうですが、僕は予後がよく2日ほどで退院できました。でも、しばらくは舌が腫れたり喉がとにかく痛かったりで。お酒なんてもちろん飲む気にならないし、食事もおかゆなどの流動食でした。でも、ひどい痛みは3日くらいでひき、1か月ですっかり元の状態にもどりましたよ。
── 手術してよかったですか?
菅さん:CPAPのようなわずらわしさはないし、寝る前にボタンを押して装置のスイッチを入れるだけでよく眠れるようになったので本当によかったです。自分が寝ているときに録音をしてみたのですが、いびきをかいていなくて、朝もすっきり目覚められています。おぼれる夢はもう見ませんよ。
── 特に不便なこともないでしょうか?
菅さん:今のところはありませんが、この装置は電気刺激を使っているので、装置のバッテリーが切れる約10年後に、また手術しないといけないようです。
あとは電気風呂とか低周波マッサージなど電気を浴びてしまうと装置が壊れてしまう可能性があるのでNGらしく。今後は番組などで「電気イスの罰ゲーム」はできなくなると言われたのですが、それはどちらかといえば僕にとってはラッキーでしたね(笑)。
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今ではバラエティ番組やライブで大忙しの菅さんですが、お笑い芸人を志したのは通信制高校に通っていたころ。それまでギャル男としてヤンチャばかりしていたそうですが、クラスメイトのひと言がきっかけで芸人の道を目指したそうです。人生、どこでなにがあるかわからないですね。
取材・文/酒井明子 写真提供/菅 良太郎