両親の死は私にとってただの死ではなく
── 出かける直前に、お母さんが倒れたことに気づいてよかったですよね。
erincoさん:本当に、倒れたのが1分遅かったら家を出ていました。早めに家を出て職場のスポーツジムで筋トレする日も多かったですが、その日はたまたま早く出なかっただけなので。旅行中に倒れる可能性があったと思うと、タイミングをはかったようでした。そして母を追うように、飼っていたセキセイインコがつい最近、死んでしまったんです。
── 悲しみが続いてしまって…。
erincoさん:母が亡くなっても、セキセイインコは常にピヨピヨ鳴いていて、ずっと肩に乗ってくれたのが支えだったので、家のなかが本当に静かになってしまったし、これでついにひとりっきりになっちゃったなぁと実感しています。でも、母が連れていったのかもしれないですね。セキセイインコの寿命が8年くらいのところ15年も生きてくれたので、逆に母を見届けてから天寿をまっとうしてくれたのかな、とも思います。
── ご両親と大切なペットを見送ったいま、どんなことを思いますか?
erincoさん:両親の死はただの死ではなくて、自分をサポートしてくれる、より前に押してくれる機会だったなと思ってて。亡くなると人ってこんなに一瞬で骨になっちゃうんだと実感しましたし、自分もいつかは天国に行くから、1日1日を1秒でもムダにしないように、周りの人に感謝しながら生きていこうと思います。
50代でアメリカまで行って体外受精を決断してくれたこともそうですし、こんなに大切に産んでくれた、きっと普通だったらこの世にいなかったかもしれない命なので、感謝を忘れないように生きようって強く思いました。私もいつか子どもができたら、両親のように愛を注いで育てたいですし、人を愛せる子に育ってほしいです。
取材・文/富田夏子 写真提供/erinco