スーツを着続け25年…ヒットを続ける秘訣は
── 伊勢丹の紙袋柄スーツと出会い、25年たちました。51歳になって変化を感じますか?
多田さん: 年を重ねると、芸風やネタ作りの方向性が変わるのかな?と思っていましたが、同じままですね。プライベートでは早起きになり、行った先で御朱印を集めるのが楽しくなりました。目の前で、御朱印を書いていただくのを見るのはたまらないです。僕もサインは書き置きじゃなくて、できるだけ目の前でていねいに書こう、と思います。

── 御朱印集めが趣味だとは意外です。では、若いころから続けていることは?
多田さん:2008年ころから月1回、下北沢にあるライブハウスでコンビでトークライブを続け、新ネタをお客さんに見てもらっています。そこで良かったネタを年1回の単独ライブで披露するんです。小さく試して、反応がよければブラッシュアップして大きな舞台に持っていく。つねに準備しておいて、いつどんな仕事に呼ばれても対応できるように。今年も10月から、単独ライブ「COWCOW 32nd LIVE」を名古屋、福岡、東京、大阪で行っています。
── これまでに、ヒットを飛ばしたネタをたくさんストックされていると思いますが、それでも新しいネタを作り続けているんですね。何十年も創作を続ける秘けつは?
多田さん:ネタ作りにつながるかはわかりませんが、自分独自のアイデアを生み出すことを大切にしています。笑いのためだけでなく、僕自身が渋滞時や帰り道を歩くのが長いなぁというとき、オリジナルゲームを考えて楽しんでいるんです。子どもたちにも、待ち時間やヒマな時間に「つまらない」と言い出したら、「時間を楽しく過ごす方法」を自分で考え出すように教えています。
たとえば、好きな数字を決めて、帰り道により多くのその数字を見つけた人が勝ち。ヒット曲にのせて、目についたものを上手く歌い上げたほうが勝ち。『紅蓮華』のメロディーにあわせて、「コンビニ〜、薬局〜、ガードレール」とか(笑)、なんでもいいんです。スマホやテレビゲームもいいのですが、まわりに頼るのではなく、自分で創り出す大切さを、子どもたちにも知ってもらいたいですね。
取材・文/岡本聡子 写真提供/多田健二、吉本興業株式会社