「怖い」「お化けみたい」。スタージ・ウェーバー症候群という、生まれつき血管の奇形が見られる病気を患い、顔の右半分に大きな赤っぽいあざをもつ村田志穂さん。学生時代はあざがあることで壮絶ないじめを経験し── 。

 

※本記事は「自殺」に関する描写が出てきます。体調によっては、ご自身の心身に影響を与える可能性がありますので、閲覧する際はご注意ください。

教科書に落書き、スカートはビリビリに破かれた

村田志穂
現在の村田さん。あざの範囲は徐々に広がっているという

── 生まれつき、スタージ・ウェーバー症候群という血管の奇形が見られる病気を患い、顔の右側に大きな赤っぽいあざがある村田さん。顔にあざがあることで、子どものころから苦労されたそうですが、ご自身であざを意識したのはいつくらいからですか?

 

村田さん:いちばんはじめは小学生くらいですね。男の子が私の顔を見て「気持ち悪い」と言っていたし、私はほかの子ほかの子とは違うんだなとは思いましたが、そこまで気にしていなかったんです。本格的に意識したのは中学生になってから。中学校は近隣の小学校から子どもたちが集まってひとつの中学校になっていましたが、中学から一緒になった人が私の顔を見て「怖い」「お化けみたい」と言い出して、いじめが徐々にはじまりました。

 

── 中学に入って早々に。

 

村田さん:早かったと思います。小学校から一緒だった友達も次第にいじめに加担するようになって、暴言を吐くとか、無視をするようになって、教科書に落書きをされるように。ものを隠されたり、体育の授業から戻ってきたらスカートがビリビリに破かれていたりすることもありました。いじめがエスカレートしていくと、殴る蹴るの暴力や、砂を食べさせられる、校舎の2階から落とされそうになったこともありましたね。

 

── あまりにひどい仕打ちだと思います。友達や先生に相談することはありましたか?

 

村田さん:相談できるような友達はいなかったし、中学2年生のときに先生に相談して、私と、いじめの加害グループで話しあいの場を設けてもらったんです。でも、加害グループのメンバーが、学校のなかでも明るくて目立つというか、べっぴんさんたちの集まりだったからかわかりませんが、先生が「お前ら、いじめなんてしてないよな」というような言い方をしていて、全然、話し合いをするような空気ではなかったですね。「こんな顔だから信じてもらえないんだ」と思ったし、学校や先生に不信感が募るだけでした。学校に行かずにだんだん家に引きこもるようになって、中学3年生になるころにはまったく行かなくなりました。

 

── ご家族に相談されましたか?

 

村田さん:親とは何度か話をして、母が学校に連絡してくれましたが、状況が変わることはなかったですね。母も無理に「学校に行け」と言わなかったし、ほとんど自室で過ごすようになりました。気づけば昼夜逆転の生活になっていましたが、中学3年生のときに、担任の先生がフリースクールを紹介してくれたんです。そのころには見るものすべてが敵に見え、親でさえ信用できなくなっていたころ。目の前にある鉛筆やコップですら敵に見えていて。

 

── 人だけではなく、ものですら敵に見えていたと?

 

村田さん:自分の部屋にずっと引きこもっていたので、幻覚なのか、ちょっと感覚がおかしくなっていたのかわかりませんが、ものでさえ敵に見えたし、自室にいても壁に押し潰されそうな感覚があったんです。だからフリースクールに行くなんてもってのほかだと思いましたが、親にうながされて、とりあえず行くだけ行ってみたような気がします。