明るい笑顔が印象的なお笑い芸人のりっぺさん(39)は、幼少期、年子の弟とふたりだけで暮らした経験があるそう。電気もガスも止まったどん底生活のなかで重宝したのはマヨネーズ。ついには借金取りまで、手を差し伸べてくれるなど、周囲の温かさに救われてきたそうで── 。(全3回中の2回)

マヨネーズを飲んで空腹をしのいだ日々

── ご両親が2歳のときに離婚されてから、お笑い芸人のりっぺさんは大変な苦労をされてきたと伺いました。小学2年生のときから、年子の弟とふたりだけで暮らしたこともあるとか…。なぜこうした状況になったのでしょうか?

 

りっぺさん:小学2年生で父が女性と一緒に暮らすことになり、父と女性、弟と一緒に暮らすことになりました。父はかなりチャラい人で…女性にモテるタイプでもあったから、同棲相手ともすぐに別れてしまいました。独身に戻ってからも女性と遊び回っていたようで、家に帰ってこなくなるんです。私と弟は家に残され、ふたりきりで暮らすことになりました。

 

手元にあるお金はフラッと帰ってきたときに父から渡される1000円札だけ。電気やガスはすぐに止められてしまいました。夏はまだいいんですが、冬は寒いし部屋はすぐに暗くなるから、玄関にろうそくを置いておくんです。学校から帰ったらそれに火をつけて、手元を照らしていました。

 

父が離婚直後の2歳から小学2年生まで、私と弟は父方の祖父母に引き取られました。その間は、ふつうの生活を送れていたんです。それが、女性と同棲することになった父親に引き取られたかと思ったらすぐに別れて…。子どもだけを何日も家に置いて遊び回るように。私と弟は、子どもだけで暮らすようになり、やり方もわからないのに家事をしなくてはなりませんでした。洗濯ものはおばあちゃんがしていた様子を思い出しながら水で洗って…。水道まで止められると、公園の水飲み場で洗濯したのを覚えています。

 

りっぺ
夫婦でお笑いコンビ・トロピカルマーチを組んでいるりっぺさん(右)

── 食事はどうしていたのでしょうか?

 

りっぺさん:まだ小学校低学年だったこともあり、お金の使い方がよくわからなかったんです。父からもらった1000円札を手に、最初は弟と一緒に近くの自動販売機でジュースを買えるだけ買ったりしていました。でもそんな買い物のしかたをしていると、当たり前だけど食べ物がなく、本当におなかがすくんです。

 

父がいつ帰ってくるかわからないし、生き延びるための買い物方法を少しずつ経験から学んでいきました。電気が止まると冷蔵庫が効かなくなる。だから生ものは買わないとか、できるだけ日持ちするものを買うとか。マヨネーズには本当にお世話になりました。マヨネーズって腐りにくいんですよ。あとから知ったんですが、お酢や食塩が含まれているから防腐作用があるらしくて。水を飲むよりもお腹のたしになるので、よく飲んでいました。マヨネーズに命を助けてもらった、と言っても過言ではありません。