焦る仕事復帰への思いを抱えながら

── 産後復帰のお仕事に関しては夫婦でどんなふうにお話をされていたのですか?
福田さん:夫は結婚前から「やりたいことをやったらいいよ」と理解してくれていたし、私もすぐに復帰したい気持ちがあったんです。でも、妊娠・出産と何が起きるかわからないし、無事に生まれてから復帰する時期については考えようと、当時の事務所と相談していました。ただ、出産して休んでいる間に世の中がすごく進んじゃっている気がして、「あれ?この数か月ですごく置いていかれちゃったかな」って思ってしまって。妊娠中に食べづわりで20キロくらい体重が増えてしまったので、体重がちゃんと戻ってから復帰しようと思いながら、なかなか体重が戻らないもどかしさもありました。
ただ同時に、母になったことで日に日に母性が強くなっていったのもたしかです。はじめは「なんで今、泣くんだろう?」とか、意思疎通が取れなくてツラかったのですが、子どもが2歳になるころには、少しずつおしゃべりもできるようになってきました。これが好き、これが嫌いとか、この子はこんなことを考えているんだってわかるようになってきたんです。そのあたりから、自分もすこし気持ちに余裕を持てたような気がします。
── お子さんの成長とともに、福田さん自身の気持ちが徐々に安定されていったと。
福田さん:今思えば、出産前から母性が自分のなかに生まれてくるのを感じていましたが、育児にも慣れてきて少しずつ自信が持てるようになり、育児が楽しめるようになると、母性が完全に爆発しました。
もともと料理が好きじゃなかったんですけど、今では夜遅くまで料理に夢中になったり、Instagramで「3歳お弁当」と検索して、気づけば半日お弁当のことを考えていたり。たまには外食もしますが、家の食事では添加物を控えるとか、家族の健康を考えて料理をしています。今はしょうゆ麹を手作りしていますが、以前は私が絶対手を出さないジャンルだと思っていました。けれど母親になって、自分でもここまで変わるんだなって我ながら驚いています。
── 現在、第2子を妊娠中です。
福田さん:妊娠がわかって、今はさらに母性爆発中です(笑)。息子もすごく楽しみにしてくれていて、夫と一緒にベビーベッドの組み立てをしてくれました。出産後はまた慌ただしい日々がはじまるかと思いますが、周りの助けを借りつつ、家族で協力し合いながら、楽しくやっていけたらなと思っています。
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出産前は「仕事第一」だったという福田さん。2009年にデビューして「ものまね」で一世を風靡し、ものまねだけではなく、多岐にわたるジャンルで活躍を続けました。しかし、完璧主義な面があるせいか、仕事の方向性に迷いが生じてしまった時期もあったと言います。日々模索を続けるなかで、マネージャーや信頼できるスタッフに話をしながら、少しずつ前に進んでいったそう。現在は第2子妊娠中のため、家事や育児を最優先にしていますが、今後も自分のペースで仕事を続けたいと思っています。
取材・文/松永怜 写真提供/福田彩乃