「免疫アップ」と聞くと心がズキっと
── つねに体調の変動がある日常のなか、健康をキープするために気をつけていることはありますか?
酒井さん:世間ではよく「健康のために免疫力を上げよう」って言いますよね。でも私は、そういう言葉を聞くと、反射的に心がズキっとしてしまう。というのも、自己免疫疾患は体の防御機能がうまく働かない病気で、私は免疫を抑える薬を飲んでいるので。健康=免疫アップという価値観に自分が当てはまらないわけです。もちろん、いちいち目くじらを立てたり傷ついたりはしません。むしろ、自分だけの正解がある場合もあるから、視野が広がったという利点もあるんです。
── 世間一般でよしとされる状態とは真逆のほうが、酒井さんにとってはベターなんですね。

酒井さん:ときにはそうなんです。だから、卑屈になろうと思えばいくらでもなれます。だからこそ、ポジティブなほうの考えも育てなければなりません。
── とらえ方が徐々に変化していったんですね。
酒井さん:そもそも、子どものころから、多数決で勝ったことがないんです。いつも「もれて」しまっていました。だから私が書く文章は常に、世の中の母集団に入れなかった人や平均値に届かない人たちに向けて発信しているんです。
20代で約1年間、俳優業を休業しているのですが、復帰後は仕事に恵まれず、演技以外の表現、特に文章で表現することに力を入れ始めました。だから、文章やトークを通して私の経験を届けられるんじゃないか、私にはそうする義務があるんじゃないか、と感じています。
── そんな状況のなか、体調をこれ以上悪化させないために、気をつけていることはありますか。
酒井さん:ひとりで過ごす時間をつくっています。リウマチは過度なストレスで悪化する人も多いのですが、私は人と会うと気疲れしちゃうんです。誰にも会わず、自分の声をちゃんと聞きとってあげられるような時間を意識的につくるようにしていますね。
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数々の病気と向き合いながら、地道にキャリアを積み重ねてきた酒井さん。美容フリークとしても知られています。SNSの言葉に心を揺らした時期もありましたが、そんな経験を経てたどり着いたのが「今の年齢を隠さず、そのまま出していく」というスタンスなのだそうです。
取材・文:前島環夏 写真:酒井若菜