阪神淡路大震災を経験して変わった意識
── 次から次へと起こる逆境のなかでも、そのように前向きに歩を進められていかれました。どのように心を切り替えていたのでしょうか。
間さん:起きたことは仕方ないですよね、もう起きてしまったんだから。進んでいかないといけません。じっとしていても何も進みませんから。何かがあったら解決しないといけない。シンプルに、そういうことなんです。
子どもたちにもよく言ってきたことなんですけど、「嫌なことを先にしなさい」と。「嫌だなぁ、と思っていて、それを 3日先、 1週間先にしようと思ったら、その間もずっとつらいでしょ?だから今すぐしなさい」って。嫌なことは今すぐしたほうがつらい時間が少ないじゃないですか。すぐに解決のために動く、というのが秘訣なのかもしれません。
── たしかに、嫌なことやつらいことで悩む期間は短い方がいいですよね。大震災を経験なさって、気持ちのうえで変わられたことはありますか?
間さん:もちろん命のありがたさなどは痛感しました。と同時に、やっぱりもっと国や行政が動かないといけないなっていうことを強く思いました。すでにいい年齢でしたが、行政に対して声を上げたいと思うようになり、そこから政治に対して興味を持ちました。「もっとわが身になって考えてほしい。何が必要なのかを考えてほしい」と、政治に対して物申したい。経験してわかるんですが、震災は、家族の絆だけでは乗り越えられないんですよ。政府にはもっとしっかり考えてもらいたい。そんな政治への意識が俄然高まりました。以降、選挙ではよりいっそう、政策をしっかりと見て票を投じたり、候補者を支持したりするようになりました。
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間寛平さんと光代さんには教員の娘さんとシンガーソングライターの息子・間慎太郎さんがいます。子育てについては「自分たちが好き勝手しているので、子どもたちにあれしたらあかんとか言えない」という光代さん。「人生1回なので好きなことをする!」というスタンスでいてもらいたいと願いながら子どもと向き合ってきたそうです。
寛平さんは、今でこそ24時間マラソンなどでいいイメージを抱かれがちですが、昔は本当にやんちゃだったそう。それでも「子どもに迷惑かけることは絶対にしてはダメ」という光代さんの言葉を守り「いいお父さんになる努力をしてくれた」と、知られざる家庭での寛平さんの姿を明かしてくれました。
取材・文/加藤文惠 写真提供/間光代 撮影(間 寛平さん分)/伊藤和幸