大切なのは「10年後に自分がどうありたいか」

大家志津香
AKB48に12年在籍し、2021年に卒業。みんながお祝いしてくれた

── たしかに、「歌って踊るアイドル」とはちょっと違うお仕事をこなしたり、アイドルらしくない姿をオープンにするのは勇気が必要だと思うのですが、それをやってのけるのは才能だと思います。しかもそれを12年も続けられたこともすごいと思います。

 

大家さん:AKB48の活動にかかわらず、仕事をしているとついつい今の結果を見すぎてしまいがちです。でも、大切なのは長期的に物事を見ることだなと、仕事を続けるうちに気づいたんです。たとえば、10年前と今ではテレビに出演している人たちって全然違いますよね。大切なのは「今」じゃない。「10年後に自分がどうありたい、どうなりたいのか」を考えることが大切だなと。

 

上京してひとりだけバックダンサーに選ばれなかった経験もそうですが、つらいことがあっても長い目で見れば、その経験は自分にとってメリットであると気づきました。俯瞰して自分の状況を見ることで、よりポジティブ思考になった気がするし、壁にぶつかっても、「将来、きっとこれを経験してよかったと思うだろう」と、とらえるようになったことで、12年間頑張れたのだと思います。

 

 

自分の居場所を模索しながらAKB48として12年間活動を続けた大家さんですが、アイドル活動中に「氷食症」という、氷が無性に食べたくなる病気に悩まされたことがニュースにもなりました。診断した医師によれば、くわしいメカニズムは不明なものの、貧血気味、つまり鉄分不足の人のなかには氷を大量に食べると気落ちが落ち着く場合があるそう。大家さん自身は自分が病気だということにさえ気づいていませんでしたが、現在は鉄剤の処方により症状が落ち着いたそうです。


取材・文/酒井明子 写真提供/大家志津香