「何も聞かない」からうまくいく

ヒロミと松本伊代
結婚式を挙げた思い出の地・ハワイで

── ヒロミさんは芸能界を休んでいる間、加圧トレーニングジムや岩盤浴の事業を立ち上げました。そのとき、松本さんに相談はあったんでしょうか?

 

松本さん:相談はなかったです。ただ、ある日、一緒に出かけたときにある場所を見せられて「ここでなにかやろうと思うんだ」と言われて。私としては初めて聞かされた話だったので「へぇー!何か、やるんだ~」みたいな感じで(笑)。

 

── もう、すでに動き始めていたころですよね?

 

松本さん:そうですね。それを見に行ったときに初めて「岩盤浴をやるんだ」と聞かされました。でも、それまで「どうするの?」とか「何やるの?」とか、そういうことはいっさい聞かなかったんです。何も聞かないということが、逆にヒロミさんにとってはあまりプレッシャーにならなくてよかったのかなとは思います。

 

── ヒロミさんのお仕事に対して「何も聞かない」というスタンスは、結婚当初から持っているのでしょうか?

 

松本さん:ヒロミさんは質問されるのが好きじゃないみたいなんです。それがわかってからは、「どうして?」「なぜこうなったの?」とか「どうするの?」とかは言わないようにしています。そういうことを言っても、ケンカになるだけなので(笑)。

 

── ケンカを避けているとも言えますが、信頼の裏返しだとも感じます。

 

松本さん:私はヒロミさんを「生きていく力がある人」だと思っているので、本当にまったく心配していないです。芸能界を休んだときも「まぁ、何かにはなるだろう」と思っていました。

 

ヒロミさんはこれまでの人生で2回、生死をさまようようなことがありました。1回目は18歳のときに自動車事故で内臓を損傷したそうです。2回目のときはおつき合いしていたのでその状況もよく覚えていますが、「ロケット花火1万本を背負って宇宙に行く」という企画で、下半身に大やけどを負ったんです。皮膚移植もして治療は壮絶でしたが、すごく強い精神力の持ち主だと感じました。そのときも「芸能界はもう辞めようと思う」と言っていたけれど、やっぱりまた復帰しました。その後にやってきた芸能界での10年間の空白も、結果的には私にとってもヒロミさんにとっても、とてもいい時間になったと思っています。

 

 

10年の空白期間を共に乗り越えてきたおしどり夫婦の松本さんとヒロミさんですが、その性格は正反対。几帳面な夫とおおざっぱな妻。言い合いのケンカはすることがないものの、ときにヒロミさんが不機嫌になり、無口になる時期があるそう。過去に塩と砂糖を間違えたときは3か月もこの不機嫌期間が続いたのだそう。そんなときは、ただただいつも通りの生活を送り、怒りの沸点が下がってくるのを待つのが夫婦円満の秘訣だそうです。

 

取材・文/石野志帆 写真提供/松本伊代