連絡先を交換するも1年も連絡が来なかった訳

── 旦那さんと接点を持ったのは大学を卒業された後だったそうですね。

 

佐藤さん:私は大学を卒業して教務助手になったんですが、夫も仕事をしながら競技を続けていて、いつも大学のグラウンドに練習しに来ていたんです。ある日、たまたま大学で行われていた避難訓練に参加していたときにバイクを運転していた夫と遭遇したんです。そのとき、彼はヘルメットを被っていたので、「ちょっと怖い人が来たな」という印象でした。しかも「避難訓練なので逃げてください」と伝えると、「俺は陸上のOBだから」と通りすぎてしまったんです。本来、私はそこで制止しないといけないのに、そのまま通してしまって。それが心残りだったんですよね。

 

── ただ、その直後に陸上競技場で征平さんと再び遭遇されたんですよね。

 

佐藤さん:仕事が終わって陸上競技場に行ったら前から彼が歩いてきたんです。謝る必要もないのに、私はなぜか「先ほどは失礼しました」と謝ってしまって(笑)。そうしたら突然、連絡先を聞かれたんです。

 

そのときは学生たちが練習が終わってストレッチしているところだったんですが、正直、なんでこんなところで聞くんだろうと思いましたよ。でも体育会系で育ったので、先輩が言うところは絶対みたいなところが染みついていて、思わず「はい」といって連絡先を教えてしまったんですよね。ただ、それから1年ほどは夫から連絡はありませんでした。

 

── なぜ連絡がこないんだろうと思っていましたか。

 

佐藤さん:そうですね。ただ、競技場で会えば挨拶はしていたんですが、連絡がないこと自体には特に触れなかったですね。

 

── 佳子さんにひと目ぼれをしてやっとの思いで連絡先を聞いたのに。

 

佐藤さん:その後、陸上部の先生に呼ばれて会合に出席することがあったのですが、そこに彼もいたんです。話したところ、「スマホに入っていた連絡先が消えてしまった」と言うので、もう1度教えることになって。連絡を取るようになったのはそこからですね。

 

彼はトレーニングに関する知識が豊富で真面目だし、そもそも競技者同士なので会話していても理解できることが多かったんです。私は16年続けた競泳を引退し、トライアスロン競技をはじめたばかりだったので、アスリートの先輩としていろいろ話を聞かせてもらって競技の参考にしていました。ただ、当時はあくまでも競技者としてしか夫のことを見ておらず、恋愛感情はありませんでしたね。