難病になったことで子育てがおおらかになった面も
── 病気を抱えての子育てはいかがでしたか?
こんどうさん:子どもが2歳くらいになるとだんだん体重が重くなってきます。私の体力では抱っこするのが難しいなど、ちょっと苦労する部分がありました。でも、抱っこできないぶん、「子どもを待つ」ことは得意になったかもしれません。
一緒に買い物に行ったときなど、娘が道草に夢中になったり駄々をこねられたりすることがあります。そういうときでも、「もう行くわよ」などと大人のペースに合わせ、抱っこして連れて行くことができません。だから、娘の気が済むまでじっと待てる。すると、娘は多少時間がかかっても、ちゃんと気持ちを切り替えてくれるんです。たとえ、泣かれてもあきらめてくれるときがいずれ訪れます。外出時は、最初から子どもが道草する時間などを考えて、予定よりかなり早い時間に家を出ます。おかげで子どものペースを大切にできているのではないかなと思っています。
遊ぶのも、一緒に走り回るのは難しいです。だから小さいときから布団に寝る状態か、ソファに座った状態で本を読んだり、ブロック遊びをしたり。今年、娘は小学2年生になりました。成長した今でも、私と一緒にいるときは静かに遊ぶものと理解しているようです。私がイラストの仕事をする横で粘土遊びをするなど、楽しんでくれています 。その日、学校であったことなどを話してくれて、私があまり動き回れなくても、楽しくコミュニケーションがとれています。家族とのかかわりのなかで、多くのことを教えてもらっています。
── 長く病気と向き合ってきたこんどうさんだからこそ、自然と子どもに寄り添うことができるのですね。
こんどうさん:たぶん健康な人と同じことをしようとすると、自分にできないことに目が向いてしまうんです。「こんなに体力がない私に、できることってあるんだろうか」と、つらくなり、悩んだときもあります。でも、周囲が私に求めているのは、自分が考えていることとは違うことだったりするのかもしれないとも思います。
以前、夫が残業続きで多忙な時期がありました。そのとき、私も体調が悪くて寝込んでいて。でも、頑張って起き上がって食事の準備をしたんです。すると夫は「家事をしてくれるのはありがたいけど、自分でできるからそんなに求めてない。もっと話を聞いてくれるとか、応援してくれるとか、そういうことをしてほしい」と言われました。えっ?そんなに簡単なことでいいの?と思って。私にとって、人の話を聞くのはまったく苦にならないことで、何時間でも聞いていられるんです。
私自身は当たり前すぎて「得意なこと」と意識していない部分が、人からすると「そこを求めている」場合って、意外とあるんだなと思います。それに気づいたら、「私にもできることがあるんだ」と、自信につながりました。
取材・文/齋田多恵 写真提供/こんどうなつき