10代から原因不明の体調不良に悩まされたことも、31歳でそれが慢性疲労症候群だと診断されたことも、よかったとは言えない。でも「子どもに寄り添える育児ができたのはよかったかも」と話す、こんどうなつきさん。そこにはタイパとは真逆の時間の流れがありました。(全2回中の2回)

「プロポーズしたのは私なはず」も夫に言い分あり

── こんどうさんは中学1年生のときから原因不明の体のだるさ、筋肉痛、めまい、集中力や記憶力の低下などに悩まされてきたとのこと。31歳で慢性疲労症候群と診断されたそうですが、この疾患は症状がひどいときは寝たきりになるほどだそうですね。現在は結婚し、お子さんもいると伺いました。旦那さんとはどこで知り合ったのでしょうか?

 

こんどうさん:夫は大学時代の同級生で、教えるのが上手な人。一緒に勉強しているうちにだんだん仲よくなりました。大学1年生の冬からつき合うようになったんです。私は体調がずっと悪くて、すぐに寝込んだり、歩けなくなったりしていました。でも、当時は原因がわからなくて…。31歳で慢性疲労症候群と診断されるまで「体調が悪いのは、自分が甘えているだけなのかもしれない」と、人になかなか言えませんでした。

 

慢性疲労症候群は名前に「疲労」という言葉がついているため、「少し休めば治る」と思われがちです。実際はこの病気にかかった人の3割が寝たきりで過ごすほど深刻な症状。近年では、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」が正式名称となり「筋痛性脳脊髄炎」とも呼ばれるようになりました。

 

こんどうなつき
家族で台湾旅行に行ったときの1枚

でも、彼は過剰に気づかうわけでもなく、「そういう体調なんだね」とありのままを受け止めてくれました。彼の前だと具合の悪さを隠す必要がありませんでした。それがすごく心地よくて。物事をありのままに受け入れる人なんだろうと感じました。彼は本当に優しい人です。獣医師ということもあり、弱っている動物がいると夜通し看病するのも当たり前。だからといって、自分を犠牲にはしないんです。ひょうひょうとしているいっぽうで、周囲に振り回されない芯の強さがあるのかもしれません。

 

彼に「どうして私と一緒にいてくれるの?」と、聞いたことがあります。「なつきは『明るさが常軌を逸している』のがよかった」と、 言われました(笑)。表現が彼らしいなと思います。彼いわく、私が病気でも、それに落ち込むことなく、やりたいことをどう実現したらいいのか考えているところが明るく見えたみたいです。

 

── 結婚したのはどんな経緯からでしょうか?

 

こんどうさん:大学卒業後は、就職をしました。新生活を送ることになり、お互い仕事に悩む時期があったんです。彼もいろんなことが重なり落ち込んでいて…。その姿を見て私から「結婚しよう」と言いました。彼もすぐ承諾してくれて。

 

私からプロポーズしたとずっと思っていたのですが、結婚後、彼と話していたら「学生のころ、僕から結婚しようって言ったよ」と言われました。そういえば、彼と一緒にいたときに倒れてしまい、救急車で運ばれたことがあります。その後、帰宅したときに「結婚しよう」と言われた気も。大学2年生だったから、私もピンとこなくて「それもいいかもね」と、流していたんです。結婚は2015年、29歳のときです。私の母が骨髄性白血病になってしまい…。母に結婚式に出席してもらいたかったから、大急ぎで準備をしました。妊娠がわかったのは結婚した翌年、30歳のときでした。