「慢性疲労症候群」。言葉だけでは、想像もつかない病気です。その病名がわかるまで約20年かかったのが、難病当事者としての発信を行っているほか、獣医師としても活動するこんどうなつきさん(38)。毎日痛みがあり、まともな学校生活を送れなくなる 、帰宅途中に動けなくなる…そんな不調を抱える日々に── 。(全2回中の1回)
インフルエンザ直後から体に力が入らなくなって
── こんどうさんは2017年、31歳のときに難病「慢性疲労症候群」と診断されたそうです。生活に支障が出るほどの体のだるさ、筋肉痛、めまい、集中力や記憶力の低下など、さまざまな症状があるとのこと。症状を自覚したのはいつごろだったのでしょうか?
こんどうさん:とても元気なタイプで、子どものころは風邪もめったにひきませんでした。それが中学1年生でインフルエンザにかかった直後から、体に力が入らなくなりました。頭が割れそうなくらいの頭痛、立っていられないほどのめまい、腹痛など、体じゅうにさまざまな症状が出たんです。インフルエンザになり始めのときのような、倦怠感や関節の痛みが続いて…。つらくて学校を休みがちになりましたが、病院でさまざまな検査をしても異常なし。いつも「気のせい」「ストレスだと思います」と言われました。
具合の悪さを誰にも理解してもらえないから、自分でも「ただの甘えなのかもしれない」と、自信がだんだんなくなって…。当時は「きっとほかの人も自分と同じくらい体調が悪いものなんだ、それでも信じられないくらい頑張っているんだ」と、考えていました。私はなんて根性なしなんだろう、と自分を責めることも少なくなかったです。
中学時代は剣道部に所属していました。あるとき更衣室で動けなくなり、倒れてしまいました。まったく動けず、声も出せなくなり、自分の体に何が起こったのかわかりませんでした。助けも呼べず、ようやく顧問の先生に発見されたんです。そのときも、どう説明していいのかわからず何も言えなくて…。先生には「そんなところで寝ているなんて、ふざけているのか?」と、叱られてしまいました。
── あきらかに不調を感じているのに、原因がわからないのは苦しかったと思います。
こんどうさん:高校1年生の終わりにはいつも体が重く、壁をつたっていないと歩けなくなっていました。当時は体調が悪いと人に言えず、学校を休んでも「熱が出た」など、嘘でごまかしていたんです。それでも獣医師になりたくて猛勉強し、念願の獣医学科に入学することができました。実家の茨城県を離れ、大学のある北海道ではじめてひとり暮らしをすることになったんです。