「すべてを知らないほうがいい」恋愛観も変化
── その「ひとり時間」で、どのようにエネルギーをチャージされているのでしょう?
小柳さん:どんなときも揺らがない、凪のような心を手に入れたいとつねづね思っていて。だから、瞑想をしたり、心の中を整理する時間を大事にしています。ほかにも、最近、夢中になっているのが「歴史」ですね。もともと大河ドラマが好きで、戦国武将に関する本を読んだり、動画を見たりしていましたが、いまは古代史にすごく関心があります。古事記に書かれている神さまの系図を調べたり、専門家のYouTubeを見ていると、思わず時間を忘れてしまいますね。
ライブで地方に行くときも神社を見つけるたびに、「この神社にはどういう神さまが祀られているんだろう」とルーツを調べたり。なので、移動中はずっとキョロキョロしたり、興奮したり、落ち着きがないんです(笑)。最近ではマネージャーも私に感化されて、一緒に神社のことを調べたり、「この神社はどこどこの系譜だよね」なんて話で、盛り上がったりしていますね。

── デビュー曲『あなたのキスを数えましょう』をはじめ、これまで恋愛に関する歌もたくさん歌ってこられました。年齢とともに、恋愛観も変化してきたと思います。40代の今、どんな恋愛観をお持ちでしょう?
小柳さん:昔は恋愛体質で、自分の思いをぶつけて相手と向き合うような直球の激しい恋が多かったんです。でも、ある程度、年齢を重ねてくると、もう少し落ち着いて、相手のすべてを知らないほうが、想像する楽しみがあっていいかも、と曖昧さを楽しめるようになってきました。やっぱり恋愛って、大きく心を動かしてくれるものですし、つねにその気持ちは持っていたいなと思っています。結婚は…ご縁次第ですかね(笑)。いまのところ強い願望はありませんが、人生、何があるかわからないですから。
ただ、どんなときも「歌」が私の中心にあることは変わりません。25周年を迎えたいま思うのは、まだまだ挑戦したいことがたくさんあるということ。40代の今だからこそできる表現を、これからも歌に重ねていけたらと思っています。
取材・文/西尾英子 写真提供/小柳ゆき