テレビ番組の企画とはいえ、46歳から東大受験に挑んだ山田雅人さん。しかも「勉強大嫌い」からのスタート。企画が終わっても自腹で8年間、続けた訳とは?人生さえも変えた勉強の成果や影響とは?「学び」の意味を山田さんは問いかけます。(全4回中の4回)

46歳で東大受験「最初の模試は900満点で2点」

── 8月はレジャーを楽しむ人が多いなかで、受験生は夏休み返上で勉強に集中する時期。タレントの山田雅人さんはどんな学生時代を過ごしていましたか?

 

山田さん:勉強が大嫌いでね、「この先の人生、好きなことしかしない!」と決めていました。だから芸能界に入ったようなものです。ところが、あるときから「勉強ってこんなにおもしろいんだ」とガラリと視点が変わる出来事がありました。2006年、テレビ番組の企画で東大受験の話がきたんです。46歳のときでした。僕は「いまさら勉強なんてしたくない」と絶対に断るつもりでした。

 

ところが企画を断ろうとすると、妻が「人生で1度くらい嫌いなものに本気で向き合ってみたらどう?好きなこと、得意なことしかやらないでいたら、知識だってかたよるし、バランスがとれないわよ」と言うんです。その言葉にすごく納得して。思いきって挑戦することにしました。

 

でも、勉強を始めた当初は「なんで引き受けたんだろう…」と後悔しました。なにしろ初めて受けた模試は900点満点中2点!英語の長文なんて、知っている単語がほとんどないんですよ。見ているだけで、じんましんが出るんじゃないかというくらい頭が受けつけませんでした。4択の選択肢問題もどう解答していいのかわからなくて…。ひとつしか選んではいけないところをふたつ選んでしまうほどでした。

 

山田雅人
お兄さんと一緒の少年時代の山田さん(右)

── そんな絶望の状態から、どうやったら勉強に前向きになれたのでしょうか?

 

山田さん:現役の東大生が家庭教師の先生としてついてくれたんです。その先生はとても素敵な人でした。東大のことも大学教授のことも、勉強のことも絶対に悪く言わない。ふつう学校に通っていたら「あの授業はつまらない」「あの先生のこと、好きじゃない」など、多少不満がありそうなものじゃないですか。それがいっさいありませんでした。

 

現役学生がまったく悪口を言わない東大って、すごくいい大学なんだろうなと感じました。それに家庭教師の方は僕よりずっと年下でしたが、すごく聡明で素敵だったんです。この人が通っている東大に「僕も入学したい」と憧れるようになりました。とはいえ、仕事もしているから勉強だけに専念できるわけではありません。ふだんは朝5時に起き、8時までの3時間を勉強にあてることにしました。あとは移動中のスキマ時間も有効に使い、勉強に取り組んでいました。