柔術でみるみる健康になっていった

福島善成
『ヨーロッパ柔術選手権2025』で世界チャンピオンに

── 週に6日も道場に通われていたんですね。

 

福島さん:はい。コロナ禍で不安やストレスがありましたし、仕事もほとんどキャンセルになってしまったんです。でも、柔術をしている1時間は、不安やストレスをいっさい忘れて競技に集中できました。ランニングやウォーキングだと「仕事どうなるんだろう」とか、走りながらつい考えちゃうじゃないですか。でも、柔術はそういうよけいなことをまったく考えずに集中して続けられるんです。柔術は「脳のデトックスになる」ってよく言われているんですが、本当にその通りだなと実感しましたね。

 

── 柔術を始めてから、体にどのような変化がありましたか?

 

福島さん:僕はあまりにも不健康で、体重もどんどん増えていたので柔術を始めました。なにがなんでも痩せたい!という気持ちで始めたわけではなかったのですが、続けているうちに体調が劇的に改善されていったんです。まず、体重は3、4か月で108kgあった体重が75kg前後まで落ちていったんです。柔術を始める前と同じくらい飲んだり食べたりしていたのに(笑) 。

 

── 体重以外に変化はありましたか?

 

福島さん:はい。一時は最高血圧が240もあって、緊急病院に運ばれて検査されたこともありました。そんな異常値だった血圧も自然と正常値にまで戻りました 。肝機能障害で異常値だったガンマ・ジー・ティー・ピーの数値も基準値まで一気に下がったんです。尿酸値はまだ調整中ですが、痛風の症状も以前は「痛み10」だったのが、今では「痛み1程度」に収まるようになりました。

 

── 柔術の効果がすごいですね。

 

福島さん:始めた当時はわからなかったのですが、柔術って、体づくりに理にかなった運動なんです。全身運動だし、格闘技なのでセロトニンが出やすいし、筋肉もつきやすい。それに、格闘技って集中しないとやられてしまう世界なので、「やるかやられるか」っていう感覚で集中力が自然と養われます。競技中はほかのことを考える余裕がないので、雑念がなくなって、脳がすっきりします。効率よくやせて、健康にもなれる、最高のスポーツだと思います。

 

── 柔術は女性にもおすすめのスポーツだと聞いたことがあります。

 

福島さん:めちゃくちゃオススメですね! イーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグなど、世界の著名人も柔術をやっているんですけど、彼らも「これ以上、効率のいいスポーツはない」と言っているそうです。1時間で全身のバランスよく鍛えられるので、消費カロリーはかなり高いんです。最初はマット運動やでんぐり返し、動物の動きを真似たアニマル体操などの基礎から始めるので、女性でも徐々に体力をつけられます。あと、イヤなことを全部忘れて没頭できるのがいいですね。今、アメリカでもすごく流行っていて、競技人口が世界中でどんどん増えているんです。ぜひ、一度体験してみてほしいです。

 

── お笑いのお仕事も、ブレイクするまで20年間続けられています。お笑いも柔術も、結果が出るまでやり続ける秘訣があれば教えてください。

 

福島さん:僕は一度始めたら、結果が出るまでやりきるという選択肢しかないタイプなんです。もちろん、目標や、支えてくれる人たちの存在も大きいんですが、自分にとっては「継続すること」自体がひとつのモチベーションであり、目標なんです。だから「結果が出ないから諦める」という発想はあまりなくて、ただ「結果が出るまでやり続ける」だけですね。

 

── 今後の目標を教えてください。

 

福島さん:2026年に行われる『IBJJF ブラジル柔術選手権』での優勝ですね。僕らの世代が出場できるなかで、いちばん大きな大会なんです。今は少し怪我をしているのでペースを落としていますが、週4日、90分から2時間くらいはトレーニングを続けています。必ず実現させたいと思っています!

 

 

「結果が出るまでやり続ける」── その信念を貫き、20年の下積みを経て芸人としてブレイクし、40歳を過ぎてから始めた柔術でも世界チャンピオンにまで登りつめた福島さん。そんな福島さんが次に見据えるのは、2026年にブラジルで開催される大舞台。今後の活躍がますます楽しみです!

 

取材・文/大夏えい 写真提供/福島善成