産後は車いす生活に…「できることが減っても」

── 産後は家の中も車いす生活に切り替えたそうですが、その理由は?
小澤さん:妊娠中に筋力が低下したことも理由のひとつですが、出産を機に広い家に引っ越したこともあり、室内での移動のしやすさを考えて車いす生活に切り替えました。屋外の移動については、以前から電動の車いすを使っていますが、子どもと2人で散歩に出かけることもままならないので、「自由に歩くことができたら、できることも多いのに」と悔しい気持ちになることも多いです。
仕事も結婚も出産も、昔の私が「無理だ」と諦めていたこと。今はそのすべてが叶っていて幸せではありますが、「このまま病気が進行したらどうなってしまうのか」という不安は常につきまとっています。
── パートナーとどのように育児に向き合っているのでしょうか。
小澤さん:私ひとりの力では、子どもを抱き上げることもできないので、「ご飯を食べさせてあげる」など、できることをやっています。夫はシングルファザーのように育児に向き合ってくれていますが、おむつ替えや着替えのときなどに、「一緒にやろう」と私に声をかけてくれることもあって。「夫がひとりでやったほうが早く済むのに」と思うのですが、夫の心づかいがうれしいですね。
今、私は育休中ですが、ひとりで子どものお世話をすることが難しいため、夫が仕事のときは、ヘルパーさんに自宅に来てもらって、育児のサポートをしてもらっています。
── 今後、仕事に復帰される予定はありますか?
小澤さん:はい。今年、息子が2歳になったので、そろそろ仕事に復帰したいと考えています。しかし、会社に出社して働くには、私の身の回りの介助をしてくれる人が必要。産後の私は、トイレに移動することにも手助けが必要です。そのために、「ヘルパーさんと一緒に会社に出社すること」を認めてもらわなければいけないので、今、自治体に申請を出して手続きを進めてもらっているところです。病気があっても、サポートがあれば働けるので諦めたくはないですね。
── どんな困難も、ひとつずつ乗り越えていく姿勢が素敵です。今後、新たにチャレンジしたいことはありますか?
小澤さん:障がいや病気のことを理解してもらうための、映画を作りたいと考えています。これまで、私がさまざまな場所におもむき、病気になって体験したことなどを講演してきましたが、今後、私が動けなくなっても「私の思い」をたくさんの人に伝えることができたらと考えています。
今は、知人の力を借りながら、私の日常などの映像を撮り溜めているところ。今後どんなふうに展開していくのかはまだ未定ですが、さまざまな形で「伝える手段」を増やしたいと考えています。
取材・文/佐藤有香 写真提供/小澤綾子