20歳で初めて病名が明らかになって「ホッと」

小澤綾子
家族と成人式の記念撮影。このころ、病名が明らかに

── その後、20歳で病名が明らかになったとのことですが…。

 

小澤さん:20歳になったとき、階段を自力で上ることが難しくなってしまい、「明らかにおかしい」と感じて、大学病院を受診しました。最初は整形外科を受診したのですが、そのときの先生に「遺伝子の病気かもしれないから、神経内科で診てもらってください」と言われました。神経内科で検査をして、ようやく「筋ジストロフィー」と言う病名が明らかになったんです。

 

── 病名を聞いたときの気持ちを教えてください。

 

小澤さん:「病気のせいだった。私が悪いわけじゃなかったんだ」と、ホッとしました。これまで、誰も私の体の異変を理解してくれなかったけれど、病院の先生が「病気です」と認めてくれたことで、これまでの自分を肯定できるような気持ちになりました。

 

私の心のつらさは、小学4年生から感じ続けてきた体の違和感を、誰からも認められず、理解してもらえないことでした。病気だと診断されるまで、10年の月日がかかりましたが、違和感の正体を解き明かすことができてよかったと感じています。

 

 

難病であることが判明した瞬間の気持ちを、「ホッとした」と話してくれた小澤さん。しかし次第に気持ちが落ち込み、将来に強い不安を抱くように。そんな小澤さんに、前を向く力を与えてくれたのが、病院のリハビリの先生の厳しい言葉だったそうです。その言葉に奮起したことで前向きに生きられるようになっていきます。現在は、IT企業で人事部に所属して働いているそうです。  


取材・文/佐藤有香 写真提供/小澤綾子