夫婦ゲンカを悪化させないために決めたルール

── ところで、おふたりの間で「夫婦のルール」はありますか?
梶原さん:大きなものは2つですね。ひとつめは、恥じらいを忘れないこと。マンネリって、慣れすぎることから始まると思うんです。だから一緒にお風呂に入らないし、お互いに着替えているところは絶対見ない。僕もパンツ一丁で歩かない。そういう基本的なところですかね。
── それが「基本」ですか?なかなかハードルが高い気が…。
梶原さん:もちろん、すべてをさらけ出して安心しあえる関係も素敵だと思います。でも、僕個人の考え方としては、できる限り恋愛のような感情をずっと抱いていたいし、嫁さんにとってもそういう存在でいたいなあと。「それって大変じゃないですか?」とよく言われるんですが、結婚当初からずっとそうしてきたので、もう当たり前になっているんです。
ただ、おならに関しては「笑いが取れそうやな」と思うときはOK。笑いはやっぱり大事なので(笑)。でも、嫁さんがするのは見たことないですね。
ふたつめのルールは、ケンカをしたときは、なるべくその日で終わらせること。エキサイトしそうなら、いったん寝てリセット。もちろん感情的になってしまうこともありますが、ルールを決めておくことで、それ以上悪化させないようにしています。
── ルールを決めておくことで、ブレーキがかかる、と?
梶原さん:そうですね。どれだけ腹が立っていても、自分で決めたルールですから、どこかで冷静な気持ちが残っているんです。だから、きりのいいところで「ちょっと話そうか」と僕から言います。夫婦関係を円満に保つには、やっぱり対話をすることがすごく大事だと思うんです。感情がもつれたままだと、どこかでしこりが残ってしまうし、あとから思い出したりして溝が深まる気がして。だから、早い段階で話し合って思いを伝え合うようにしています。
5人の子育てで大事にしていることは
── 決めたルールは守る。徹底されてますね。
梶原さん:頑固なんですよ。自分が「こう」と思う型にハマらないと「なんでや?」となってしまう。めちゃくちゃ面倒くさいヤツですよね(笑)。
子育ても同じで「話し合うこと」を大切にしています。たとえば子どもたちが間違ったことをして注意をするとき、頭ごなしにダメと言うのではなく、「なぜそれがダメなのか」「やることで何が起こるのか」を言葉にして「どうして怒られているか」という理由をきちんと伝えます。
きょうだいげんかでも、そのときの雰囲気で「お前が悪い」「お兄ちゃんだから我慢しなさい」ではなく、ケンカにいたった原因をきちんとひも解く。そして、間違っていたほうが「ごめんね」と謝るようにする。仲直りをしたら、僕の出番。「じゃあ遊ぼうか」と、何か笑いを起こすようなことをします。きょうだいゲンカのときはそうして解決するようにしてますね。
── ていねいに子どもと向き合っていらっしゃることが伝わります。お子さんたちに今、いちばん伝えたいことはなんでしょう?
梶原さん:「感謝の心を持つ」ことをいちばん大事にしています。ただ、そうはいっても幼い子どもだから、自発的には芽生えない。だからこそ親が背中を見せることが大事だと思っています。外食したときは「ごちそうさまでした」と率先して大きな声で感謝を伝えたり、嫁さんが料理を作ってくれたら「ありがとう、いただきます」「おいしいね」と言葉にする。そうすることで、子どもたちも自然と感謝をすることを身につけていくと思うんです。
取材・文/西尾英子 写真提供/梶原雄太