相方の影響で「自分が頑張る理由」が見えた

── ご自身の力で再起を図るなかで、梶原さんを突き動かしてきた原動力はなんだったのでしょう?

 

梶原さん:家族やYouTubeのチームだったり、自分を支えてくれる身近な存在が大きいですね。そもそも僕は、頑張る理由があったほうが、モチベーションが湧くタイプ。物欲も出世欲もあまりないから、自分ひとりなら明日から4畳半のアパート暮らしに戻っても全然、構わないんです。だからこそ「頑張るためのエンジン」が自分にとってはすごく大事です。

 

若いころは「もっと目立ちたい」とか「自分の名前を残したい」といった野心が強かったのですが、そうした気持ちはもう1ミリもなくて。今はただ、大切な誰かのために頑張りたいという気持ちが強いんです。そう変わったのは、西野の影響も大きかったと思います。

 

── 西野さんの影響といいますと?相方さんは、ご自身のビジョンに向かって迷いなく突き進むようなイメージがあります。

 

梶原さん:彼は「好き」をとことん突き詰める人で、本当におもしろいことを自分で生み出したいという純粋な情熱を持っているんです。その熱量がものすごい。もちろん人のためにも頑張ることのできる人間だけど、いちばんの軸は「心から楽しいと思えることを形にしたい」という想い。それをずっと変わらず追い続けているんです。

 

そういう姿をずっと見てきたから「あ、これはかなわないな」と思ったんですよね。西野のような、心から好きなことに向かう純粋な熱量は正直、自分にはない。だったら自分は何で頑張れるんだろうって、あらためて考えるようになったんです。

 

結局、自分は「誰かのために」というときにいちばん力を発揮できるタイプだということ。西野とは全然、違う頑張り方なんですよね。もちろん今も自分を表現することにはこだわりがありますし、やりたいこともたくさんあります。でもそれは、目の前の大事な人たち、たとえば家族だったり、YouTubeを見てくださっている方が喜んでくれることに繋がっていたら、その達成感や充実感が何倍にもなるんです。

 

 

現在はYouTuberとして活躍を続ける梶原さん。プライベートでは2007年に元読者モデルの妻・未来子さんと結婚して今年で18年目になります。結婚当時は「昭和の価値観」だったそうで、「芸能界か自分か」という究極の選択を迫ったことも。そうした過去に反省しつつ、妻へのあふれる感謝を口にする梶原さん。だからこそ「たくさん恩返しをしなければ」と常に思っているそうです。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/梶原雄太