物体から4m以上離れ、角度45度の安全地帯へ

「雷は開けた場所では人に落ちやすいため、キャンプ場、ゴルフ場、海岸、グラウンドといった場からはすぐに離れてください。花火大会や野外フェスなどの会場も同様です。また、雷は木など高いところに落ちやすいので絶対に近づかないでください。そして、頑丈な建物や車の中にいち早く避難しましょう」

 

施設などの逃げ場が見当たらなかった場合には、「保護域」または「雷しゃがみ」を手立てにします。保護域とは、雷の危険にさらされない安全な領域のことです。

 

「落雷時に木の側は危険ですが、逆に木から少し離れたところに安全な空間が存在します。そこが保護域です。一般に高さ5メートル以上30メートル以下までの高い物体、木や電柱、鉄塔などから4メートル以上離れたうえで、該当する物体の頂点から45度の角度に入る範囲内になります。保護域となるそのエリアで身を低くしているのが木のそばよりも安全なのです」

 

もうひとつの「雷しゃがみ」とは、屋外で雷から身を守るための基本姿勢です。

 

「まず姿勢をできるだけ低くして、前かがみにしゃがむ。次に両足をそろえ、手で耳をふさぐ。そして、つま先立ちの体勢をとります。低い姿勢は直撃雷を避けるため、両足をそろえるのは電流が流れないようにするため、耳をふさぐのは落雷の衝撃波から鼓膜を守るため、つま先たちは地面と接する面積を少なくして被害を避けるためです。雷しゃがみはあくまで最終手段。まずは安全な場所を探して避難するようにしてください」

 

雷はやがて活動を弱め、次第に収まっていくものですが、その見極めは難しいものです。

 

「気象情報を並行してチェックするのが前提ですが、私は『30分ルール』を提唱しています。最後に雷の音を聞いてから目安として30分間、次の雷の音が聞こえなければ、行動を再開してもいいと思います」

 

取材・文/百瀬康司 写真提供/小林文明(本人写真のみ)