27歳のときに指定難病の全身性エリテマトーデス(SLE)を発症した梅津絵里さん。25歳で結婚し、保育士として働きながら、毎週末サーフィンを楽しんでいた幸せな日常が一変します。(全2回中の1回)
日焼けや夏バテだと深刻に考えていなかったら

── 25歳で結婚し、幼稚園教諭として働きながら毎週末サーフィンを楽しんでいた梅津さん。しかし、27歳のときに全身性エリテマトーデス(SLE・全身性エリテマトーデス:関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性化炎症の自己免疫疾患)を発症すると生活が一変していきます。まず、SLEを発症したときの症状は覚えていますか?
梅津さん:今思えばSLEの特徴だったんですけど、鼻から両頬にかけて、蝶を広げたようなかたちをした皮膚の赤みが出ていたのと、腱鞘炎のような痛みや手のこわばり、倦怠感もありました。手が痛い理由はわからなかったけど、サーフィンが趣味なので顔の赤みは日焼けだろうと思っていたし、倦怠感も夏バテだと思ってとくに深刻に考えていなかったんです。でも、顔の赤みが全然ひかないので皮膚科を受診しました。そのときは炎症を抑える薬をもらいましたが、赤みがひくことはありませんでした。
── 当時は幼稚園教諭として働いていたそうですね。そうした症状によって、仕事や日常生活に支障が出ましたか?
梅津さん:何かを持つとき、たとえば子どもを抱っこしたときなどに、以前は感じなかった重みを手や腕に感じるようになりました。家ではお風呂のシャワーヘッドやペンを持つことさえ重く感じたんです。次第に食欲不振になり、口内炎もできて、倦怠感が増してきて。友達との予定を疲労でドタキャンせざるを得ないことが出てきたんです。整形外科も受診しましたが、ここでも炎症を抑える薬をもらって終わりでした。
その後、半年くらい経ったある日、旦那さんが内科のクリニックを受診する機会があったので、私も一緒に診察をしてもらったんです。そこで、初めて「膠原病(こうげんびょう)の疑いがある」と言われて、大きな病院で検査することになりました。
膠原病は自己免疫の異常によって血管や皮膚、関節、内臓など、全身の結合組織に炎症が起こる病気の総称だそうですが、「膠原病」という名前すらほとんど聞いたことがなかったので自分でも調べてみたんです。すると、膠原病のひとつに「全身性エリテマトーデス」(SLE)という病気があることを知って「これだ!」と。自分の症状にほとんど当てはまっていたので、きっとそうに違いないと思いました。
── 大学病院でさらに検査し、27歳のときに「全身性エリテマトーデス」(SLE)の診断名がつきました。また、SLEの合併症としてループス腎炎、シェーングレーン症候群も同時にわかったそうですが、医師から診断名を告げられたときはどう思いましたか?
梅津さん:「やっぱりこれだったか!」と診断名がついてホッとした気持ちと、同時に病気が確定したショックがありました。また、旦那さんにも私が病気になって申し訳ない気持ちもありました。1か月半程度入院することになって、退院後は1年近く療養生活になると言われたので、幼稚園教諭の仕事は退職しました。
入院中から薬の投与が始まると、ステロイドの副作用でムーンフェイス(満月様顔貌。顔に脂肪がつき丸くなる)の症状が出て、見た目が変わってしまった時期があるんです。まだ20代と若かったし、おしゃれやメイクも好きだったので、鏡を見ては落ち込んでいました。