救急車を呼びたいほどつらかった術後の痛み

── その後、2度目の挑戦をされました。
兒玉さん:そうです。多嚢胞性卵巣症候群については何年も前から薬で治療は行っていました。薬を飲んでいれば生理周期は安定しやすく卵子もきちんと育つので、治療は継続しつつ、1度目の失敗から2〜3か月後に生理周期が安定していているのを確認して、もう一度チャレンジすることにしました。
── 1回目とはまた違った気持ちで挑めたのではないでしょうか?
兒玉さん:まさにその通りで、一度失敗したこともあり、命に対する向き合い方が変わりました。だからこそ、少しでも年齢の若いうちにできるだけ早めにやっておきたいという気持ちが加わったように思います。1度目と同じようにマネージャーさんにお仕事のスケジュールの調整をお願いして、自己注射をしながら2日に1度病院へ。今度は卵子が育つ薬の量を多めにしてくれたようで、順調に育っていきました。
── 採取の手術はどのように行われるのでしょうか?
兒玉さん:診察台に座った状態で全身麻酔をされるので、採取中に意識はありません。麻酔から目が覚めたら終わっていました。2、3時間くらいだったと思います。
ただ、つらかったのは採取後です。個人差はあると思いますが、麻酔が切れた後から私はとにかくお腹が痛くて…。手術では卵巣にある卵子に針を刺して採取します。採取した卵子が多いほどたくさん針を刺すので痛みが強いらしいのですが、私は人より多めの30個近い卵子を採ったので痛みもすごかったのかもしれません。
その日のうちに自宅に帰れるのですが、あまりの激痛で帰宅後に救急車を呼ぼうか迷ったくらいでした。お腹に水が溜まってしまい、見た目もお腹がポコっとしていて。痛み止めと水が溜まらないようにするお薬を飲んでいましたが、結局1週間くらいは痛みが続きました。
── 採取した卵子は今、どうなっているのでしょうか?
兒玉さん:病院に保管されています。卵の数により年間の保管料が変わるのですが、私の場合はたくさん採れたので、年間で数十万円かかっています。
今後、何歳以上になったら凍結した卵子を使うなど、具体的なことはまだ考えていません。自然妊娠できるのであればそのほうがいいのかもしれないし、でも適齢期にそのような状況になるかもわからないので、そのときが来たらじっくり考えようかなと。
今回、卵子凍結で失敗したり、痛い思いをしたり、さまざまな経験したことで、改めて子どもが産まれることは奇跡なのだと思いました。
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現在は女優として仕事に向き合っている兒玉さんですが、HKT時代は自分を追い込んで双極性障害を発症し休業を余儀なくされます。さらに、容姿にコンプレックスを抱いていたことも。美容整形にハマり、メンタルを安定させるために繰り返してしまったことで、総額1000万円以上も費やしてしまったそう。当時を振り返り「あの子のようになりたいという気持ちは誰しもあるけれど、まずは自分のよさに目を向けてほしい」と語ってくれました。
取材・文/酒井明子 写真提供/兒玉遥