元HKT48のメンバーで、現在は女優として活躍している兒玉遥さん。2025年のはじめに20代で卵子凍結を決意します。その背景には、「将来、子どもがほしいと思ったときに選択肢を増やしておきたい」という思いがありました。(全3回中の2回)
仕事に邁進するために卵子凍結を決意

── 2025年のはじめに卵子凍結をされたそうですね。28歳での卵子凍結はかなり早いように感じますが、なにかきっかけがあったのでしょうか?
兒玉さん:HKT48で活動している時期に双極性障害になり、2年半ほどお仕事を休養しました。今は復帰し、女優のお仕事を中心に活動しています。今は仕事がすごく好きで、頑張って女優としてのキャリアを積み重ねたいと思っている時期です。なので、すぐに結婚や出産をすることは考えられませんが、いつか子どもを産んで家族を持ちたいという夢もあります。
もし、結婚して子どもがいたら、キャリア優先で自分だけのために突っ走るのはなかなか難しいだろうなと。そうなると結婚や出産が10年後、15年後になる可能性がありますよね。そのときに子どもを産める選択肢を増やすため、未来の自分に保険をかけるために、卵子凍結を決意しました。元HKT48の指原莉乃さんが卵子凍結をしていたり、助産師の友だちに話を聞いたりしたことも、決断するきっかけになったと思います。
── 病院についてはどのようにして情報を集めたのでしょうか?
兒玉さん:調べてみると病院ごとに料金にそこまで差はなかったので、通いやすく実績のある病院を選びました。というのも、まず卵子を育てるには、3週間くらいかかるのですが、その期間は2日に1度は通院しなくてはいけません。家で自己注射をするのですが、育ち具合に合わせて薬の量を増減する必要があるからです。そのため「通いやすさ」を優先しました。それでも仕事のスケジュール調整はかなり大変でした。卵子凍結のハードルを感じました。
── 無事に卵子は育ったのでしょうか。
兒玉さん:実は、私の場合は、1度目の挑戦では卵子凍結ができませんでした。私には多嚢胞性卵巣症候群という卵子を包む袋である卵胞が大きく育たず、小さな卵胞が卵巣内にたくさんできてしまうという病気があって。そのせいで卵胞が大きくなりきらないばかりか、むしろ小さくなってしまったんです。医師によると1度大きくなった卵胞が小さくなることは珍しいらしく、そのようにあまり状態のよくない卵胞にある卵子を凍結してもいいのか不安になりました。
卵子が順調に育ったら、卵巣に針を刺して卵子を採取する採卵手術を行う予定でした。ただ、このときは医師と話し合った結果、手術の2日前に卵子凍結することを諦めたんです。卵子凍結の過程で中断になることはあまりないらしく、頑張って準備をしてきたためショックでしたが、自分の考え方を見つめ直すきっかけになったと思っています。お金さえ払えば卵子凍結ができると思っていましたが、決してそんな簡単なものではなく、育てているのは将来、赤ちゃんになるかもしれない命なんだなと。「命の尊さ」について改めて真剣に考えるきっかけになりました。