「人口700人の村」ホラーイベントで地域が活性
── ただ怖いだけでなく、来場者の人生観にまで影響を与えるお化け屋敷。マイケルティーさんのお化け屋敷やホラーイベントは、ネットニュースやSNSでもよく話題に上っていますね。
マイケルティーさん:私が意識しているのは、その場限りの「見世物小屋興行」としてのお化け屋敷ではなく、マーケティングを駆使して世界中の人を惹きつけるお化け屋敷です。怖いけれど心魅かれてしまい、思わずもっと調べたくなりウェブ検索してしまう心理をつく「バイラル(感染)効果」を狙っています。どんな場所で開催しても、世界中の人をざわつかせ、「見てみたい」「行ってみたい」と感じてもらえるよう、私が広告用のキャッチコピーやメッセージを考え、メディア戦略を練っています。
「ホラーなんて社会に必要ないだろう」という声も聞きますが、安全な恐怖空間や非日常体験が、人の心や生活に与えるポジティブな影響を伝えたいです。私が経営する会社では「ホラーで社会貢献」をミッションとして掲げています。
── ホラーと社会のつながりという点では、どのような活動をしていますか?
マイケルティーさん:全国のシャッター商店街の活性化やテナントが撤退した施設の再利用など、地域創生の打ち手として、お化け屋敷やホラーイベントを行っています。2017年には人口700人の山梨県小菅村で、4歳の幼稚園児から83歳のおばあさんまでがゾンビに変身して来訪者を怖がらせる「ゾンビ村KOSUGE」に協力しました。小菅村を知ってもらいたい村民のアイデアからうまれた企画ですが、結果、アメリカ、イギリスやインドの海外メディア、在京キー局など、多くのメディアで取り上げられ、約3000人が来場して大反響を呼びました。
そして、ホテル事業やほかのイベントの効果も組み合わさり、観光客や移住者が増えたため、小菅村での試みは地域創生の成功例となりました。経済的効果もさることながら、映画やゲームの主人公のようにゾンビになりきって観光客を怖がらせる村民の演技は、私の期待以上でした。同様の試みは京都のお寺や東京・青山の建て替え前の児童館でも行いました。このほか、各鉄道会社とコラボして、空き物件をお化け屋敷に活用するなど、沿線に観光客を呼び込むためのプロジェクトも増えています。