モデル・タレントとして活躍する佐藤かよさん。18歳から女性としてモデル活動を始め、順調にキャリアを重ねるなか、21歳のときにテレビ番組で自身がトランスジェンダーであることを公表しました。幼いころから「普通」という言葉に違和感を抱いていたという佐藤さんの幼少期は── 。(全3回中の1回)
「女の子向けのアニメを見るからそうなるんだ」

── どんな幼少期を過ごされていましたか?
佐藤さん:幼いころから友達はたくさんいました。性別や年齢は関係なく、いろんな子と遊んでいましたね。でも、「自分にとっての普通が、大人たちにとっては普通じゃないんだ」と感じさせられる場面がたくさんありました。たとえば、私はお人形遊びやセーラームーンごっこが大好きだったんですけど、「男の子は普通、そんな遊びしないよ」って言われたりして。友達は私の「好き」や「普通」を自然に受け入れて、一緒に遊んでくれていたんですけど、大人には理解してもらえませんでした。
── ご両親はどうでしたか?
佐藤さん:母は私の好きなものを尊重してくれていたので、何かを言われることはありませんでした。でも、昭和生まれの厳格な父には理解できなかったようです。当時はまだLGBTQという言葉や概念が一般的ではなかったので、セーラームーンごっこをすると、「女の子向けのアニメを見るからそうなるんだ」と言われて、好きなアニメも遊びも禁止されていました。
── お母さんは理解してくれていたのですね。
佐藤さん:はい。なので、母は私と父の間で板挟みのような状態でした。私のことで母と父がケンカするのを見るのは、子ども心にもつらいものでした。ただ、こう言うと、父が悪者みたいになってしまうんですけど、今となっては父の気持ちもわかるんです。当時は、LGBTQに対する理解がほぼない時代でしたし。私を思うからこその心配だったと思います。だから、誰が悪いとかでもないんです。