2024年6月に卵巣がんが見つかり、抗がん剤治療を受けていた演歌歌手の市川由紀乃さん。開腹手術の影響でお腹に力が入らず「歌手復帰はムリかもしれない」とあきらめかけたこともあるといいます。弱気になった市川さんの気持ちを奮い立たせたのは、先輩歌手からのある言葉でした。(全3回中の2回)
抗がん剤治療の副作用「クシでとかした髪がバサッと抜けた」

── 生理不順や不正出血の症状から婦人科を受診し、2024年6月に卵巣腫瘍が見つかりました。開腹手術によって卵巣などを切除した結果、「ステージ1の卵巣がん」と判明。その後抗がん剤治療へと移ったそうですが、入院での治療だったのでしょうか?
市川さん:最初の1回は入院して、それ以降は3週間1サイクルで通院しながら合計6回、抗がん剤治療を受けました。それが2024年の8月から12月の期間です。1回目は、点滴で抗がん剤を入れ始めるとすぐに息苦しくなってしまい、投与を止めてもらったんです。少し時間をおいて休んでから、点滴が落ちる速度を遅くしてもらって何とか耐えることができました。
2回目もまたあの息苦しさがくるのかと思うと恐怖でしたが、それ以降はスムーズに抗がん剤の投与を受けることができました。1回の投与におよそ5時間かかるので、けっこう長いですよね。投与のために毎回、血液検査と尿検査をして、数値が基準をクリアしていないと投与ができないのですが、特に問題なく6回ストレートに受けられたのはよかったです。
── 抗がん剤の副作用はあったのでしょうか。
市川さん:やはり髪は抜けていきました。抗がん剤治療を始める前に、長かった髪をセミロングにカットしていたのですが、治療が始まってからしばらくすると、クシで髪をとかしたときにバサッと抜けるようになりました。これでは床に髪が散乱するし、お風呂の排水口が真っ黒になるな…と思い、すぐにベリーショートにしました。髪が短いと抜け落ちる量が少なく見えるので、ショックが少しやわらぐんですよね。吐き気も出るかなと思いましたが、私の場合は抗がん剤の投与前後3日間に飲み続ける吐き気止めの薬が効いて、あまり感じませんでした。
── 治療中や治療後、つらかったのはどんなことですか?
市川さん:開腹手術をしたので、お腹に力が入らなくなって、今まで日常的にできていた動作ができなくなりました。ペットボトルのふたが開けられなくなったり、しゃがんでものを取るのが難しかったり…。スーパーに行くにも、80歳になる母が私の手を引いて連れて行ってくれていましたし、荷物も母が重いほうを持って、娘の私に軽いものを持たせるような状況になってしまいました。
あと、これも抗がん剤の副作用なんですが味覚障害が何週間か続き、どんな食べ物もしょっぱく感じる時期がありました。何を食べてもおいしくないので、ヨーグルトやおかゆなど、すぐに飲み込めるものを食べていました。