公園で「子どもをひとりで行動させるなんて」と
── 2013年の第2子出産時、2011年生まれの長女はまだ小さかったと思います。日本とは文化の異なるアメリカで小さな子どもふたりを育てるのはいかがでしたか?
青木さん:アメリカは銃社会でもあるし、危険なことも少なくありません。だからこそ、子どもの安全を守ろうとする意識が強いです。たとえば児童虐待もそうです。州ごとの法律によって12歳以下の子どもをひとりで留守番させたり、外出させたりすることが禁じられています。それはとても大切なことだと思うのですが、日本のように「夫は仕事、妻は育児」という役割分担で、ベビーシッターさんも雇わず、夫婦だけでなんとかしようとすると、手が回らないことが多くて…。
たとえば、まだ長男が赤ちゃんだったころ、長男を抱っこしながら長女を公園に連れていきました。長女がひとりでワーッと走っていくと、周囲から「子どもをひとりで行動させるなんて。あの子の親は誰だ」と厳しい目が向けられ、注意されたり通報されたりするんです。つねに「子どもから目を離してはいけない」というプレッシャーがありました。
── 日本とアメリカは子育てをするうえでも考え方や価値観が異なるのですね。
青木さん:子どもひとりに対し、両親だけでなくおじいちゃんおばあちゃん、ベビーシッターさんと、複数の人がお世話をしている印象でした。私は基本的に「何事も全部ひとりで取り組もう」と思うタイプでしたが、子どもたちがふたりとも歩くようになると、遊びに連れていくことすら難しくなりました。
そこで信用できる人を紹介してもらい、1年間くらいベビーシッターをお願いしたんです。子どものお世話を一緒にしてくれるシッターさんがいると、ちょっと遠出して動物園などに子どもを連れて行くなど、行動範囲が広がりました。子どもたちも楽しそうで、お願いしてよかったと思いました。日本とは異なる文化もたくさんありましたが、実際に経験したからこそ視野も広がったと感じます。
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小学生のころから水泳一筋。五輪出場を夢見た青木佐知さんでしたが、選手としての道は断念することに。しかしその経験が、「アナウンサーとして五輪に行く」という次の夢に繋がり、2008年にはオリンピックに関わることもできました。そんな青木さんのモットーは「後悔の少ないほうを選ぶ」こと。そのおかげで今も、これまで最良の人生が送れていると感じているそうです。
取材・文/齋田多恵 写真提供/青木佐知