ケンカはしても「価値観が近い」から共に歩める

── 青木さん自身も、とても充実した毎日だったと思います。二人三脚で戦い続けるなかで、夫婦の意見がわかれるときなどはなかったのでしょうか?

 

青木さん:もちろん意見がわかれたことはあるし、ケンカをしたこともあります。でも、ケンカになっても引きずらないようにするのがわが家のルールです。意見が少し違っても、納得することがすべてではないし、「そういう考え方もあるんだね」と受け入れています。こうして過ごせているのは、夫と私の考え方や価値観が似ているからだとも感じています。ふたりとも「自分にとって何が大事か」を見極めたら、そこに全力投球していくタイプ。これだけ似ている人はほかにいないだろうなと感じます。だからこそ、結婚して十数年間、ともに歩んでこられたように思います。

 

── 2018年に帰国後、青木選手は東京ヤクルトスワローズに復帰されました。青木さんの生活にも変化があったのではないでしょうか?

 

青木さん:夫は復帰後「東京ヤクルトスワローズで優勝」という、もうひとつの目標もかなえ、2024年に引退しました。現在、夫は球団のゼネラルマネジャー(GM)特別補佐に就任しています。「メジャーリーグ挑戦」「日本に復帰してヤクルトで優勝」と、さまざまな夢をかなえ、充実した野球人生だったと思います。隣で彼の応援がずっとできて、私はとても幸せでした。これからもきっといろんなことが待っていると思います。でも、変わらずに夫婦でタッグを組み、ふたりで乗り越えていきたいです。

 

 

メジャーリーグ挑戦で渡米した際、現地で第2子を出産した青木佐知さん。日米の文化の違いを感じることもあったそうです。ただ、仕事よりも家族を優先する当時の監督の助言もあり、夫の青木宣親さんは日本人メジャーリーガーとして、初の産休を取得。出産に立ち会うことができたそうです。

 

取材・文/齋田多恵 写真提供/青木佐知