うまれつき「顔面動静脈奇形」という難病を持ち、鼻と上口唇に変形がある河除静香さん。見た目を理由にいじめられた経験を、ひとり芝居で発信しています。舞台に立つことで、観る人に伝えたいメッセージとは。(全3回中の3回)

難病でいじめられた経験を芝居にした

河除静香
ひとり芝居「悪魔」。自分の経験をお芝居にした

── ひとり芝居でご自身の経験を発信されています。お芝居を始めたきっかけは何だったのですか。

 

河除さん:新潟県で活動している「こわれものの祭典」というパフォーマンス集団がいるんです。アルコール依存症や精神疾患を持つ人たちが、朗読で自分たちの病気や疾患を発表しています。10年ほど前、そのグループが東京でイベントをするというので、観に行きたいと思って調べたら、出演者を募集していたので、「じゃあ、出てみようかな」と。「自分の病気のことを発表していいんだ。みんなに話してみたい」と思ったのがきっかけです。

 

詩を作ってみたら物語になったので、「本を作って、読み聞かせみたいにしようかな」とも思ったのですが、本までを作れる自信がなくて。インターネットでいろいろ調べているときに、たまたまひとり芝居の動画を見つけて「これだ!」と。「この物語は、ひとり芝居で表現できる」と思ったんです。

 

お芝居のシナリオは、自分がいじめられていたエピソードです。学校で基本的人権について学んだときに同級生に「基本的人権がない」と言われてつらかったこととか、成人式でいじめをしていた相手から謝られて恨みがなくなったことを、そのままお芝居にしました。