今や妻は「ブレイン」かもしれない

── お笑い好きの奥さんから、厳しいダメ出しなどがあったりするのでしょうか。

 

どくさいさん:むしろ今は、僕のほうからネタを見せにいって感想を聞いています。僕はピン芸人で、ネタの内容を相談できる相方がいないので。自分はおもしろいと思っているけれど、客観的にどう見えるかがわからない。誰にも見せずに、お客さんに披露するのはリスクが高いので、妻には必ず相談するようにしています。「こういうネタを作ったんだけど、どう思う?」と率直に聞きます。

 

──『R-1グランプリ』のネタづくりの際も、アドバイスをもらうのですか?

 

どくさいさん:そうですね。コントのネタって通常5分くらいなんですよ。それに比べて落語は10分でも短いほうで、普通は20分。それに慣れているから、ネタをつい長く作ってしまうんです。最初に作ったネタも7分半あって、「おもしろいけど、長いよ」って周りから言われちゃって。それを短くする作業がめちゃくちゃ大変なんです。いまだにそれで苦労していますね。ネタを短くしたり調整するときに意見がほしいこともあるので、実際にネタ見せをしてフィードバックをもらったり、ダメ出しをもらったりしています。そう考えると、妻はある意味「ブレイン」かもしれないですね。

 

── ご夫婦で意見交換するなかで、言い合いになったりすることも?

 

どくさいさん:お笑いのことより、今いちばん揉めがちなのは、私の酒の量かもしれません。会社員からフリーランスになり、昼間から飲めるようになったので、「飲みすぎているんじゃない?」とよく言われます。心配してくれているのはありがたいですね。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/どくさいスイッチ企画